抄録
2×2×K分割表におけるオッズ比の単調仮説は応用例が多く,これまでにも尤度比検定,累積x2検定などが提案されている.一方,Hirotsu et al.(2001)で提案された2×J×K分割表での2次元傾向性仮説に対する最大対比型の正確検定も2×2×K分割表の場合にはオッズ比の単調仮説の検定に帰着する.そこで本論文ではこの最大対比型正確検定を2×2×K分割表の場合に特化し,使い易く定式化するとともに,新たに対立仮説のもとでの検出力の正確な計算方法を与える.また本論文の設定では比較的セル頻度の多い分割表が対象となることも考慮し,正規近似によるP値についても考察する.さらに,代表的な対立仮説パターンを取り上げて最大対比型正確検定の検出力を計算するとともに,マルコフ連鎖・モンテカルロ法による経験分布から得られる尤度比検定との比較を行った.