2023 年 88 巻 5 号 p. 383-392
本稿では,1978年に掘削された老朽井からの油ガス漏洩に対する,応急措置から完全廃坑に至るまでの実績について紹介する。
本坑井は,既存生産油田の構造翼部,水深約50ft の位置に掘削され,浅部の帯水層から貯留層へ自重で水を供給し,貯留層の圧力サポートをする目的で仕上げられた。仕上げ作業から廃坑作業に至るまでWell interventionは一切実施しておらず,2016年のダイビング作業により,初めて老朽化した坑口部分と,坑井頂部の30 inch corrosion cap から油ガスが漏洩していることを確認した。
当面の油ガス漏洩を抑え込むため,緊急措置として,Temporary cap の設置,Diamond wire sawによるケーシング切断およびSubsea starter head (Containment cap) の取り付けを行った。漏洩を一時的に食い止めた後,Jack-up rigを用いて当該坑井の完全廃坑作業を無事故で完遂した。これらの作業は,極めて限られた坑井情報から計画され,作業中には不測のトラブルが多発したものの,リリーフウェルを掘削することもなく,成功裏に終了した。