介護福祉学
Online ISSN : 2758-1268
Print ISSN : 1340-8178
研究ノート
介護歴10年目を迎えた在日フィリピン人のライフストーリー――「介護」の捉え方と定着要因に着目して――
田鎖 楠奈
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2024 年 31 巻 1 号 p. 37-46

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抄録

[目的]日本で介護に従事する在日フィリピン人介護職員が「介護」をどのように捉えているかを明らかにし,「介護」の捉え方が介護職への定着にどう結びついているかを考察する.[方法]在日フィリピン人介護職員マイカさん(仮名)にインタビューを行いライフストーリー研究法に基づき分析を行った.[結果]マイカさんは来日後の生活や実務経験から,「介護」を「人と人(と)の関係の仕事」,「命を預かる仕事」と捉えていた.これらの認識は「専門職としての自覚,誇り」や「やりがい」「責任ある仕事を依頼されることへの喜び」に繋がり,介護職への定着を促進させていることが示唆された.[結論]利用者との良好な関係性やサポート体制が整った職場環境等が,マイカさんの肯定的な「介護」の捉え方や定着を支えていた.本事例を一般化することはできないが,これまで語られてこなかった在日フィリピン人介護職員の「生の声」を聞き出すことができた.

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