日本再生歯科医学会誌
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原著論文
組織工学手法(CHA,PRPおよび骨髄の混合移植)を用いた4ヶ月後のサイナスリフトの組織形態学的検討
大久保 厚司下御領 良二井上 正朗千坂 英暉鈴木 久二博辻本 恭久空閑 裕紀松永 常典三島 弘幸山本 仁筧 光夫寒河江 登志朗小澤 幸重LeGeros Racquel
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2006 年 3 巻 2 号 p. 100-113

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抄録

上顎洞底粘膜挙上術(サイナスリフト)において,上顎骨が約 1~2mm(分類SA 4)の挙上は洞底粘膜や毋床骨からの血流は乏しく,粉砕自家骨を用いても充分な骨量を確保できない場合がある.
臨床医として施行可能な範囲で,組織工学の原則である腸骨より体性幹細胞,足場として CHA(carbonate apatite)と自家粉砕骨を混ぜたもの,成長因子としてAPC-PRP(Auto Platelet concentration Platelet Rich Plasma )の3要素を用いて,サイナスリフトを施行した.4ヶ月後,口腔インプラントを埋入時に内径2~3mmのフライスドリルを用いてD2程度に造成された新生骨をブロック状で採取することが可能であったため,これを用いて組織学的検討をおこなった.
最も骨造成を必要とした|5部の成熟骨化率は40.15%,新生骨化率は6.40%,骨占有率は46.75%以上の石灰化があった.骨髄相当部では残留していた一部のCHAと骨の間においては,血管系は少ないものの,CHAは一部吸収され,その周囲には整然と骨芽細胞様細胞が配列されている組織観察が得られた.インプラント上部構造装着後,15ヶ月経過するが予後は良好である.
以上のことからコラーゲン?T型,結晶核として Ca2+,CO32-,PO43-等のイオンの介在の可能性,CHAによるpHの調整,骨造成蛋白の発現の制御を検討した.

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© 2006 日本再生歯科医学会
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