日本再生歯科医学会誌
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原著論文
Mineral Trioxide Aggregateによるイヌ歯髄覆髄への組織学的考察
大久保 厚司辻本 恭久川島 正下御領 良二井上 正朗空閑 裕紀松永 常典三島 弘幸寒河江 登志朗小澤 幸重
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2006 年 3 巻 2 号 p. 92-99

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抄録
Mineral Trioxide Aggregate(MTA)粉末に含まれる結晶の微量成分をSEM-EDS分析により,Ca,P,S,Mg,Si,Alを検出し,これらの元素のほとんどは,歯根の成長と熟成にともなうSiとAlがCaとPに置換される重要な元素であり,象牙質もしくは象牙前質の石灰化機構時に出現する微量元素と類似していたことを先に報告している.
通常,生活歯髄断髄の処置にFC固定,ヨードカルシウム製剤,水酸化カルシウム製剤が用いられているが,必ずしも良好な予後は期待できない.
生活歯髄切断後の直接覆髄材として,象牙質石灰化元素を有するMTAをイヌ歯髄と根尖部への影響を実験した.イヌ動物実験では6週において,MTAはセメント様石灰化を形成し,その直下で歯髄はほぼ正常な状態で存在した.また,8週は歯髄組織内にMTAが介在するも,一部充血が観られるだけで炎症の拡炎はなかった.比較の水酸化カルシウムによる直接断髄はデンティンブリッジを形成するものの,直下では空胞変性や炎症生細胞も一部観られた.全ての群において根尖部組織への影響は無かった.
これらの結果からMTA成分は生体反応を調節していき,生活歯髄断髄後の覆髄剤としての有用な成分であることが示唆された.
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© 2006 日本再生歯科医学会
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