家族看護学研究
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先天性心疾患患者のきょうだいの経験―ライフストーリーの語りから―
新妻 靖子藤岡 寛
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2024 年 29 巻 p. 14-26

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抄録

先天性心疾患患者のきょうだいの経験をきょうだい本人の語りから明らかにするために,A氏(20代・女性)に対して,半構成的面接を行い,ライフストーリー法を参考に分析を行った.A氏は3歳年下の先天性心疾患患者を弟に持つ.

幼少期のA氏は,親の不在や同胞との分離・同胞が優先される経験等をして,先天性心疾患患者のきょうだいであることに対してマイナスなイメージを強く持っていた.しかし,知識を深めたり親の気持ちを顧みる機会を得て,役割意識の変化が生じていった.この時期がA氏のライフストーリーにおいてポイントとなる転換点であると考えられた.自分の境遇を徐々にポジティブに捉えられるようになり,将来は家族として同胞に協力していきたいという思いを抱くようになっていた.

家族の中でそれぞれの役割があるため,看護支援としては家族の全体像を積極的に把握することで,家族ダイナミクスを高める支援ができるのではないかと考えられた.また,同胞の存在はきょうだいに様々な影響を与えながらも,家族を一致団結させる存在であり,先天性心疾患を持った子どもを中心に凝集性が高まっていた可能性が考えられた.

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© 2023 一般社団法人日本家族看護学会
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