家族看護学研究
Online ISSN : 2758-8424
Print ISSN : 1341-8351
研究報告
開業助産師の産後の生活を見据えた保健指導
石田 都乃荒木田 美香子
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2024 年 29 巻 p. 61-71

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抄録

産後の時期は,心身の回復をしながら母親役割の獲得をしていかなければならないため,困難を感じている母親が多い.開業助産師が産後3~4ヶ月頃までの生活を見据えた保健指導の内容を明らかにすることを目的として,開業助産師11名を対象としてフォーカス・グループ・インタビューを実施し質的帰納的に分析した.

その結果,開業助産師が産後の生活を見据えた保健指導は【産後の身体回復を優先した生活方法】【産後を見据えた妊娠期からの母乳育児支援】【わが子と自分にあった育児を獲得するための方法】【『泣き』と『寝ない』の攻略法】【子どもの誕生により変化する家族の再調整の方法】【産後の生活を調整するための情報提供】の6カテゴリーであった.

保健指導の内容は伝えていた時期に違いがみられた.妊娠期には親役割の獲得を促進するための内容を伝えていたと考えられる.また,妊娠期と産褥期の両方の保健指導では,地域でスムーズに生活をするために家族間を調整する方法と地域との繋がりを作る情報を伝えていたと考えられる.産褥期には,母親自身の身体を労わるために休養を促し,わが子と母親にあった親役割の獲得を促進するための方法を伝えていたと考えられる.加えて,助産所以外で出産した母親でも相談等で利用可能なことも伝えていたことから,開業助産師は,妊娠期から産後と切れ目なく支え,助産所で出産をしていない母親にも支援し,地域でスムーズに生活するために相談の場,子育て支援の場であること伝えていたと考えられる.

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© 2023 一般社団法人日本家族看護学会
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