日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
一般研究論文
信頼性係数の混合モデルを用いたメタ分析におけるその適切なる変換方法に関するシミュレーション研究
宮崎 康夫杉澤 武俊
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 12 巻 1 号 p. 1-17

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抄録

近年教育・心理測定の分野において、信頼性の一般化 (reliability generalization)と呼ばれる概念が提案され注目を集めている。この概念は、より一般的には多くの研究結果を計量的にまとめるメタ分析と呼ばれる技法において、注目している統計量が尺度の信頼性係数であるケースと考えることができる。信頼性一般化の概念・技法は比較的新しいため、その標準的な統計分析手法はまだ確立されておらず、特にどのような形の信頼性係数の変数変換をメタ分析の従属変数として、即ち信頼性係数の標準効果量として用いるのが適切であるかは、研究者の間で議論の別れる所である。そこで本論文では、どの形の変換がより適切であるかを、メタ分析を混合モデル(または、階層線形モデル(Hierarchical linear model))の枠組みで、シミュレーションを用いて検討した。6つの変換の性能を母数の復元精度の観点より比較した結果、対数変換または3乗根変換のいずれかが無変換を含む他の変換よりもより高い性能を示した。対数変換または3乗根変換のどちらを選択するかは母数復元精度の観点からは任意であるが、分散の安定化を考慮すると、分散安定変換である対数変換がより望ましいと考えられる。

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