日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
事例研究論文
わが国のTIMSS2011 数学データにおける 多次元IRT を使った妥当性の検証について
坂本 佑太朗
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 12 巻 1 号 p. 37-53

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抄録

科学的な根拠に基づいた教育論議が求められている中で,テストの品質保証という観点もまた重要である.現状としても,構成概念を精緻に測定することの重要性が再認識される必要があり,先行研究自体も不足していることが指摘されている.そこで本研究では,多次元IRT を使ってわが国のTIMSS2011 中学校2 年生数学データにおける構成概念妥当性の「構造的な側面」について検討した.その際,TIMSS2011 の「認知的領域」である「知識」「推論」「応用」が持つ下位領域特有の影響について双因子モデルを用いることで項目情報量の観点から検証することを試みた.その結果,下位領域特有の影響が相対的に大きい項目は214 項目中23 項目存在し,通常のIRT 分析では拾えなかった下位領域に関する特徴を定量的・定性的に確認することができた.つまり,この結果は多次元IRT により構成概念についての測定論的な特徴を詳細に表現出来たことを意味し,今後のさらなる応用可能性が示唆された.

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