視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P-4
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ポスター発表
視覚障害のある学生のICT利用状況調査
*宮城 愛美飯塚 潤一
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抄録

【目的】
視覚障害のある学生のICT(情報通信技術)利用の実態を把握し、利用時の問題点、課題を抽出する。
【方法】
筑波技術大学保健科学部の1~3年生(全員が視覚障害のある学生)を対象に、パソコン・インターネット・携帯電話の利用する機能・サービス、利用時間、課題とその対処方法について質問紙によるアンケート調査を実施した。
【結果】
筑波技術大学保健科学部(保健学科(鍼灸学専攻、理学療法学専攻)、情報システム学科)の全学生118人に質問紙を配布した。有効回答者数は61人(回答率51.7%)だった。
携帯電話の利用時間は、“1時間以上2時間未満”が32.8%と最も多かったが、“5時間以上”利用する学生も11.5%いた。補助機能の利用は75.4%で、文字サイズの拡大、色設定の変更、音声読み上げの順で多かった。83.6%がインターネットで音楽・動画などのコンテンツを利用していた。利用時の課題対処方法は、全学科では“取扱説明書・ヘルプを読む”が多かったが、情報システム学科は“インターネット、メーリングリストで解決方法を検索する”が最も多かった。
パソコンの利用時間は、“1時間以上2時間未満”が27.9%と最も多かったが、“3時間以上5時間未満”、“5時間以上”もともに23.0%と多かった。スクリーンリーダーの利用は37.7%で、PC-Talker、95Reader、JAWSの順で多かった。画面拡大ソフトの利用は49.2%で、Windowsのユーザー補助機能を利用する学生がほとんどだった。86.8%がインターネットで音楽・動画などのコンテンツを利用していた。ブログなどのコミュニティサービスの利用は49.1%で、特に情報システム学科の利用が多かった。利用時の課題対処方法は、全学年とも“周囲の人に尋ねる”が多く、他者に依存する傾向があるが、学年が上がるほど“取扱説明書・ヘルプを読む”の割合が増え、自力で解決する学生が増えていた。
【結論】
学科・学年によってパソコン・携帯電話の利用状況に差がみられた。今後は、利用が活発でない学科・学年を対象に、情報通信機器のアクセシビリティを踏まえた教育を十分に行い、学生のICT活用を促進していく。

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© 2009 視覚障害リハビリテーション協会
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