視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P-21
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ポスター発表
視野狭窄が視覚的空間認知に与える影響
*久保 寛之角田 亮子釼持 藍子仲泊 聡
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抄録

【目的】
 関口らは、縦方向の位置情報が視野狭窄によって影響されるかもしれないということを正常被験者に視野狭窄シミュレーションゴーグル(以下SG)を用いて実験的に示した。一方、釼持らは、楕円視標を用いて視野狭窄が視覚的形態認知に影響を与えるかどうかを同様の方法で検討し、明らかな縦横の歪みは生じないことを示した。前者の視覚刺激は、日常視に近い風景画像であったため、縦方向には横方向に比べ、奥行き情報などの影響が生じやすいものと予想された。この認知空間の歪みの原因を明らかにするため、関口らの実験よりも単純な視覚刺激を用い、そして釼持らの実験とほぼ同じ条件での実験を行った。

【対象と方法】
 被験者はSGを装用し、視野狭窄条件を「制限なし、10度、7.5度、5度、3度」の5条件で測定した。視覚刺激は、黒背景上にひし形の4つの各頂点に相当する部位に小白点を配したもので、ひし形の歪み率を『(縦径―横径)/(縦径+横径)×100(%)』で定義し、歪み率を-10~+10(%)の1%刻みで視覚刺激を作成した。刺激サイズは、平均径を10度、20度、40度とし、各サイズそれぞれ22個(0%は2個)、全体で66個の視覚刺激をランダムな順で提示した。提示時間は3秒、刺激間隔は2秒であった。SGを装用し、_丸1_「縦長」と判断した場合、または、_丸2_「横長」と判断した場合にボタンを押し、反応時間を測定した(各視野狭窄条件で1回ずつ)。歪み率による反応時間の変化を「縦長」判断と「横長」判断で比較し、正方形と判断する歪み率を求め、これが視野狭窄の程度により変化するかについて検討した。

【結果】
 SG装用下で視野狭窄になるほど反応時間は遅くなり、それとともに正方形と判断された場合の歪み率は横方向に大きくなった。

【結論】
 今回の実験においても、関口らが示した縦方向の空間が歪曲する傾向が示された。ただし、その程度はわずかであり、更なる検討が望まれた。

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© 2009 視覚障害リハビリテーション協会
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