主催: 視覚障害リハビリテーション協会
バリアフリー新法が施行されて5年が経過したが、公共建築物においては、相変わらず「見えないブロック」が数多く採用され、屋内や敷地内における弱視者の安全性やモビリティを大きく低下させている。特に、ガイドラインの遵守を求める行政指導で形状をJISに厳格に合わせたことが、触知性の改善とは裏腹に視認性をかえって低下させる結果となっている。その主な要因は、JIS規格に色に関する規定がないことと、点や線の突起部分のみを床面に取り付ける工法が容認されていることにある。 本来の正方形の面状のブロックと、視覚サインとしての有効性にどの程度の差があるのか、実際に敷設されている現場での観察と、物理心理学的な推察により検証を試みた。 その結果、仮に最もコントラストの大きい理想的な色の組み合わせを採用したとしても、点状の突起床材においては面状のブロックの10倍程度の視力が必要と考えられ、面状でなければ視覚サインとしての機能を十分果たさないことが、改めて確認された。