主催: 視覚障害リハビリテーション協会
【目的】
これまでアッシャー症候群の盲ろう者に対しての支援活動をとおして、先天性聴覚障害の人が就労中に網膜色素変性の視覚障害を発症し,視野狭窄や視力の低下を伴うアッシャー症候群となる。それまで担ってきた業務に支障をきたし職場の配置転換が行われた後、職場を去らざるを得ない状況に至る。人生を諦めて自宅で悶々とした生活をする状況に至る。本研究は、聴覚障害者として就労継続中進行性の視覚障害を併発する盲ろう者が就労継続するためには、どのような支援が必要なのかを明らかにすることを目的とする。
【対象】
平成18年厚生労働省の「身体障害者実態調査」による全国の盲ろう者は22,000人であり、その盲ろう者のうちアッシャー症候群の盲ろう者の数や実態は把握されていない。また、アッシャー症候群の盲ろう者は、ある程度限定されているので、関係団体の活動に参加するアッシャー症候群の盲ろう者を選出する。
【方法】
調査方法は、視覚障害が進行しているにもかかわらず就労できているA氏にインタビューを行い、本人属性・日常生活・職場での就労状況等の聴取を行った。及び雇用主に対してインタビューを行い職場環境等の聴取を行った。
【結果】
通勤可能な居住、触覚を利用した業務内容、就労を通して社会参加する姿勢、意欲等で就労継続は可能になる。また、信頼できる人の存在も大きな支えとなる。
雇用主の実践として、工場内の照明を高照度、手元照明、工場の整理整頓、触覚を利用した業務内容の整備等が見られた。
【考察】
疾病当初、苦悩するA氏を支えた人の存在、A氏の社会参加する姿勢、意欲等がある。及び雇用主は、A氏の障害特性に合わせて職場環境の整備等を実践する等、雇用主及びA氏の実践等があれば、就労継続可能である。