主催: 視覚障害リハビリテーション協会
【目的】
現在用いられている視覚障害者誘導用ブロックは、多様な設置路面環境で使用できる。しかし、昨今では本来の機能を損なわずに利用者以外の通行者等も配慮した点字ブロックが必要とされている。そこで本研究では平滑な路面での使用を想定し、現状の5mmよりも低い線状ブロックを作成し、視覚障害者がその上を歩行する際の機能性評価を試みた。
【実験方法】
突起頂上と底辺の幅をJIS型と同じにし、高さのみ5.0、4.5、4.0、3.5、3.0mmとした5種類の線状ブロックを用い、幅60cm×長さ7mの歩行路を設置した。単独歩行に慣れた視覚障害者14名に両足載せで歩行路を歩いてもらい、両足逸脱の割合(両足逸脱があった試行数÷試行数)と歩きやすさに関する内観(1.方向のとりやすさ、2.足裏への当たりの強さ感、3.足首のぐらつき感、4.体全体のぐらつき感(不安定感)、5.線状ブロックとしての総合的歩きやすさ感)を測定した。試行は各歩行路につき5~6回行った。
【結果】
歩行中に両足逸脱した割合は5~14%であったが、高さとの関連は見られなかった。方向のとりやすさは突起高さと共に増加し、3.8mmでまあまあとりやすいとの評価に達した。足裏への当たりの強さ感も突起高さと共に増加し、高さ3.7mmで強くも弱くもないとの評価となった。足首と体全体のぐらつき感は高さと共に増したものの、何れの高さでもまあまあ安定するとの評価であった。線状ブロックとしての総合的歩きやすさ感は突起高さと共に上昇する様子は見られたが、3.5mm以上でまあまあ歩きやすいとの評価となった。
【結論】
突起の高さが増すと方向の取りやすさが増す反面、足裏への当りの強さ感や体や足首のぐらつき感も増加するが、3.7mm~3.8mmの高さであれば歩行時の機能を損なわず当りも強くない歩きやすい線状ブロックとして使用できる可能性が示された。