抄録
【はじめに】
欧米等の視覚障害教育ガイドラインの実情は、差違はあっても、細かな規定に裏打ちされた実効的なものが多い。一方、日本国内の視覚支援学校等では、教育支援計画等で、実態の把握から、実際の教育までがなされているが、実情には大きな内容面の差がありこの面での実施の状況は、形式面、各校のアンケート形式の調査などでその一端を知ることはできても、実際の効果、問題点までは明らかになることはあまりない。そこで、視覚支援学校での現状での問題点を考えることで、それに対応した欧米等の視覚障害教育ガイドラインの実情を調べ、日本に応用可能な事項を選び出すとともに、日本独自の視覚支援学校が目指すべき方向性をも探ることで、今後目指すべき有効な方向性についていくつかの提案をしていきたい。
【考察等】
日本の視覚支援学校等の教育の指針は多くが各校の判断、各校の実情等に左右されることが多く、年度によって、重点目標が変化したり、あるいは過度に一定の目標にシフトしたりする。欧米等の視覚障害教育ガイドラインに見られる、視覚障害児・者の教育では、重複教育(あるいは盲ろう教育)まで含めて詳細な事項の提示や、個々の状況の詳細な記述など、示唆に富む内容が多かった。これらの事項を、日本における、視覚障害教育ガイドラインのモデルケースとして当てはめ、実践を見直すことで、今後の視覚障害教育に対するより効果的な方向性が見えてくるものと考えられる。
【おわりに】
従来の視覚障害(盲学校)教育の方法論の継承が主流の我が国の現状は、先進的な諸外国の方向性に比べると、いまだ不十分な点が多い。個々の状況を細かく観察、記述することでより正確な判断ができるものが多かった。個々の計画、文書等の作成によってシステム化は進んでも、実際の個々の指導の反省と改善なしに新たな、効果的な視覚障害教育の方向性は見えないであろう。その意味で、実情に即した、視覚障害教育ガイドラインの策定はさらに重要なものとなっていくと考えられる。