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【はじめに】
中途視覚障害者が、ロービジョンクリニックを受診後、家族の理解、ロービジョンエイドの活用、歩行訓練や点字触読訓練等のリハビリテーションを受けるようになった経緯を紹介する。
【事例のプロフィール】
名古屋市在住、女性、50歳代。黄斑部異常ありと平成21年に告知され、身障手帳1種2級である。家族構成は70歳代の母親、夫と3人暮らしで、老人福祉施設に入所する母親の介護をしている。
【訓練経過】
平成21年、名古屋大学付属病院ロービジョンクリニックで、当センター職員と面談する。以後、夫も視覚障害をよく理解し、生活の中でも大変協力的になった。その後、薄暗い場所での転落をきっかけに、また、白杖歩行訓練を希望して当センターへ来所した。自宅周辺や公共交通機関の歩行訓練を行う。その中で盲導犬貸与と点字の読み書きの技術習得を希望するようになる。盲導犬貸与申請、当センターのTDLルーム(日常生活技術訓練室)を利用する計画をしていたが、母親への介護負担が重くなり、一時それらを中断する。平成24年より、TDLルームに週2回通って点字の触読訓練を受ける。
【まとめ】
高齢になれば親の介護問題・子供の独立・配偶者と死別する可能性は高くなるため、自分の身辺処理や情報を分かち合える場を確保することの重要性はむしろ上がる。このケースは、点字の読み書き、単独歩行について、訓練生が高齢であることに伴う問題を本人も、指導者もかなりのエネルギーを使って柔軟に対応・克服して身につけなければならないケースである。