視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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ポスター発表
視覚障害者養護老人ホーム土佐くすのき荘の取り組みからみえてきたもの
*幸田 康宏
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p. 84

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抄録

 視覚障害者養護老人ホーム土佐くすのき荘は高知県内で唯一の視覚障害者を対象とした盲養護老人ホームである(盲養護老人ホームは全国に48施設ある)。清流仁淀川を眼下に臨み、緑豊かな自然の里である。
 入所対象者は60歳以上の視覚障害を持つ方で、身障手帳1種1級から4級までお持ちの方か、医師にこれと同等の障害があると診断された方で、市町村民税の所得割りの非課税の方が入所できる。
 施設整備における設置基準は、一般の養護老人ホームと同じであるが、専門的なハード面がある。たとえば、転落防護柵の設置や段差をできる限り排除した構造、そして通路には物を置かない配慮等である。また、施設内はシンプルな構造(回廊式)で、位置確認のために、居室の扉・手すり等の要所に点字の表示を行っている。玄関・通路の曲がり角・トイレの入口・階段の始点、終点等の要所に点字ブロックを設置しており、目立つように点字ブロックを蛍光テープで縁取りしている。
 ソフト面でも視覚障害のある高齢者が自立した生活が送れるように専門的な支援を行っている。
 このように実施している取り組みから見えてきたものについて発表する。
 ハード面を考えると、施設内には手すりを設置しているが居室前、トイレの前など設置できない箇所があるのが現状である。
 ソフト面では、入社した時に基本の誘導方法など研修を行っているが、視覚障害者生活訓練指導員等の専門の職員ではない。しかし、高齢者施設の誘導は視覚障害以外の障害や老化があり、手引き誘導を行うようになる。
 視覚障害高齢者施設では、視覚障害の援助という部分で視覚障害者生活訓練指導員等の基本的なサポートが必要と思われるが、高齢化によって生じた様々な障害への援助と視覚障害リハとをどうマッチングさせていくか、視覚に加え高齢者の抱える様々な生活上の困難をどう総合的にサポートできるかは大きな課題である。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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