産業廃棄物ゲーム(Hirose, et al., 2004)が高校の環境教育として有効かどうかを,視聴覚教材ビデオを活用した方法と比較して検討した.高校1年生5クラスを4つのグループ(ゲーミング後ディブリーフィング,ゲーミング,ビデオ,統制条件)に分け,ゲーム直後と4カ月後に教育評価を測定するアンケートを実施した.
教育評価を測定する項目として,産業廃棄物問題への情報接触,社会的ジレンマの原因と責任,ジレンマ解決のための協力の必要性を用意した.条件間の教育評価を分析した結果,すべての測定項目でカリキュラムの違いが見られた.ジレンマの原因と責任,ジレンマ解決のための協力の必要性では,ゲーミングはビデオや統制条件よりも教育効果が高かった.
ビデオによる知識提供型教育よりも,ゲーミングによる教育は社会的ジレンマの構造を理解し,環境への意識や行動を高める効果が高く,かつその効果が持続するという特徴が見られた.