シミュレーション&ゲーミング
Online ISSN : 2434-0472
Print ISSN : 1345-1499
15 巻, 1 号
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一般論文
査読論文
  • 李 皓, 出口 弘
    2005 年 15 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2020/08/28
    ジャーナル フリー

    現代の産業において,R&D活動は非常に重要である.本論文では,企業の技術開発に関するR&D投資と製品の製造に関する設備投資の配分の問題について,エージェントベースシミュレーションとゲーミングシミュレーションのハイブリッドシステムを作成した.このハイブリッドゲーミングでは,複数のプレイヤーの設備投資やR&D投資の意思決定の結果が,このハイテク市場の需給関係の中で評価され,売れ行きや価格などが決定される.このようなモデルではコンピューターでサポートされたゲーミングのモデル化が必須である.また人工知能エージェントと競うことで,少数な人間プレイヤーでも多数のプレイヤーが必要となる複雑なゲーミングを行うことができる.本稿ではこの手法をハイテク産業の市場モデルに適用し,人工知能エージェントのみのコンピューターシミュレーションと人間プレイヤーのみのゲーミングを融合したハイブリッドモデルを開発した.それを用いて企業の,R&D投資と設備投資の意思決定を分析することで,ハイテク産業内の企業戦略について検証する.また併せて,ゲーミングにおけるハイブリッドモデルの利用は,よりリアルで複雑な社会経済のゲーミングを開発する上で有効であることを示す.ハイブリッドゲーミングシミュレーションの発展が今後のゲーミングとエージェントベースモデリングの発展の双方にとって重要なリサーチプログラムとなるだろう.

特集論文
査読論文
  • 大竹 庫一, 広瀬 幸雄
    2005 年 15 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2020/08/28
    ジャーナル フリー

    産業廃棄物ゲーム(Hirose, et al., 2004)が高校の環境教育として有効かどうかを,視聴覚教材ビデオを活用した方法と比較して検討した.高校1年生5クラスを4つのグループ(ゲーミング後ディブリーフィング,ゲーミング,ビデオ,統制条件)に分け,ゲーム直後と4カ月後に教育評価を測定するアンケートを実施した.

    教育評価を測定する項目として,産業廃棄物問題への情報接触,社会的ジレンマの原因と責任,ジレンマ解決のための協力の必要性を用意した.条件間の教育評価を分析した結果,すべての測定項目でカリキュラムの違いが見られた.ジレンマの原因と責任,ジレンマ解決のための協力の必要性では,ゲーミングはビデオや統制条件よりも教育効果が高かった.

    ビデオによる知識提供型教育よりも,ゲーミングによる教育は社会的ジレンマの構造を理解し,環境への意識や行動を高める効果が高く,かつその効果が持続するという特徴が見られた.

  • 渋谷 和彦
    2005 年 15 巻 1 号 p. 24-34
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2020/08/28
    ジャーナル フリー

    ここでは,ユビキタス環境における教育手法の可能性,特にユビキタス環境におけるジグソー法の応用について論じる.特に,ユビキタス環境の特性を活かしつつ,異質な関係性と交流を可能にする協同学習について,理論的な視点から考察する.情報化社会の進展は既に日常生活における人間に対して,より密着する形で進捗している.特に遍在的に高度な情報支援を可能にするユビキタスコンピューティングが進展することにより,我々をとりまく情報環境のみならず生活自体も大きく変化していくものと思われる.本稿では特に社会心理学,教育工学,情報教育の観点も踏まえつつ,ユビキタス社会がもたらす新たな課題ないし教育手法にどのようなものがありうるかを検討する.即ち,協同学習に関して,ユビキタス技術を適用することにより,どのような教育が可能になるか,コミュニケーションと相互理解をもたらすことがいかにして可能であるかを探究し,これらを踏まえ,実践へ向けた端緒とする.

  • 石井 奈津子, 野村 泰朗, 松田 稔樹
    2005 年 15 巻 1 号 p. 35-48
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2020/08/28
    ジャーナル フリー

    筆者らがこれまで,教員養成課程の学生を対象に講義と実習とを中心に指導をしてきた,「情報化に対応した教育」の授業設計方法のカリキュラムについて,その問題点を分析した.その結果,情報技術を活用できる授業場面や活用意図,各教科の目標を達成させつつ情報教育も行うための指導方法は,伝わりにくい場合や,知識としては分かっても実際の授業設計に適用するのが困難な場合があることが分かった.そこで,それらをよりよくコミュニケーションする手段として,ゲーミング教材を設計・開発した.2年間の実践の過程でその教材の評価・改善を行った結果,開発した教材によって,講義で得た知識を授業設計に適用する足場がけを,学生の学習意欲を保ちつつ行えることが明らかになった.また,ゲーミング教材の開発は,その過程がカリキュラム改善に貢献することが分かった.今後は,教授スキルの適用支援,個別フィードバックの充実など,よりきめ細やかな指導ができるよう改善する必要がある.

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