2007 年 17 巻 1 号 p. 17-26
本稿では,環境省が2002年に公表した3種類のゲーム教材の開発を事例として扱い,政府機関が教材を開発する際の流れについて説明するとともに,その課題について論じた.教材は,ゲーム開発の専門家が主に開発を担当し,その際,NGO,環境問題の専門家を交えたワーキンググループや産業団体からの意見を踏まえた.公表後にはテレビ,ラジオ,新聞で報道され,3日間で準備した各500部の教材がなくなるなど好評であった.本事例から,政府機関が開発することにより,教師などからゲーム教材が受け入れられやすいことや,利害関係者が教材開発に参画しやすいなどのメリットがあると考えられる.教材開発の事前手続きの段階においては,政府機関が作る必要性の十分な吟味やそのためのゲーミングの知見者の助言を得ることが望ましいと考えられる.開発においては,開発方針や開発体制を明確にしておくことが重要である.開発作業では,中立性や正確さを確保しながらテーマの抽象化を行うことや,年度内完成という時間的制約などの課題がある.また完成後は,ゲーム教材を対象者に効果的に周知・配布するための公表方法や配布方法も課題となる.これらの課題をいかに解決していくかについて,今後検討していくことが必要である.