2023 年 4 巻 2 号 p. 40-48
在宅医が在宅患者の処方薬をどのような視点で評価し,どのような処方行動がなされていくのか明らかにするため,個人インタビューを用いた質的帰納的研究を実施した.在宅医療に従事する医師 17 名に対し,半構造化個別インタビュー調査を行い,録音データを逐語録化し,テーマ分析を行った.在宅医は,薬剤の身体的影響,患者の予後や QOL,患者・家族との関係性などを考慮しつつ,多職種とのやり取りを含めた在宅医療特有の様々な要因を考慮して,処方行動の判断を行っていることが明らかとなった.処方薬変更のプロセスの見える化,多職種間での処方行動への共通理解が進むことで,在宅医療における処方の質向上につながると期待される.