本研究では,市民に裁判員裁判における評議を簡便に体験してもらい,同時に評議における市民の考え方を収集するためのツールとして,裁判員裁判ゲームを開発した.またその有効性を検討するために,50名の大学生によるシミュレーションを行った.その結果,ゲームを体験することで裁判員裁判に対する考え方が変わり,またゲーム中に感情の変化が起こっていたことが明らかとなった.また,ゲーム中の発話の分析の結果,ゲームによって,参加者が,それぞれの論点についてどのような理由で,有罪・無罪と考えるかについての理由づけを収集できることが明らかとなった.これらの点から,法教育およびデータ収集ツールとしての裁判員裁判ゲームの有効性が明らかになった.