シミュレーション&ゲーミング
Online ISSN : 2434-0472
Print ISSN : 1345-1499
19 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
一般論文
査読論文
  • 吉川 肇子
    2009 年 19 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2009/08/25
    公開日: 2020/09/14
    ジャーナル フリー

    すごろくは日本人にとっては,なじみのあるゲーム形式である.本稿では,大学生に自分自身の人生の物語(ライフストーリー)を,すごろくを使って語らせる試みについて報告する.まず第1に,すごろくによって語られているライフストーリーについて概観した.第2に,大学の授業において,すごろくを作成させる手続きを紹介した.第3に,作成されたすごろくの中から,大学生のライフストーリーの内容を検討した.エピソードとしては大学合格が,また,将来の物語の多くに「分岐」が現れているという共通の特徴が見られた.さらに,自分自身へのメッセージが含まれているものも見られた.すごろくの制作が,学生の自己認識および自己受容につながっていることが示唆された.第4に,この試みの将来の展望を,(1)手法の洗練,(2)研究ツールとしての活用,(3)心理臨床場面での活用,の3分野について検討した.

  • 荒川 歩
    2009 年 19 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2009/08/25
    公開日: 2020/09/14
    ジャーナル フリー

    本研究では,市民に裁判員裁判における評議を簡便に体験してもらい,同時に評議における市民の考え方を収集するためのツールとして,裁判員裁判ゲームを開発した.またその有効性を検討するために,50名の大学生によるシミュレーションを行った.その結果,ゲームを体験することで裁判員裁判に対する考え方が変わり,またゲーム中に感情の変化が起こっていたことが明らかとなった.また,ゲーム中の発話の分析の結果,ゲームによって,参加者が,それぞれの論点についてどのような理由で,有罪・無罪と考えるかについての理由づけを収集できることが明らかとなった.これらの点から,法教育およびデータ収集ツールとしての裁判員裁判ゲームの有効性が明らかになった.

特集論文:COEおよびGPにおけるシミュレーション&ゲーミング(4)
依頼論文
特集論文:シミュレーション&ゲーミングと倫理(3)
依頼論文
  • Shigehisa TSUCHIYA
    2009 年 19 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2009/08/25
    公開日: 2020/09/14
    ジャーナル フリー

    Analyzing several major corporate accidents in Japan, the author came to the conclusion that the lowering of ethical standards was the root cause of the accidents resulting in severe damage to public image and profit. The author also found that maintaining effective communication through ‘openness’ is the main leverage in preventing deterioration of ethical standards and practices, thus reducing the risks of major accidents occurring. The approach selected for teaching and training of business ethics and openness was learning by doing with the help of gaming/simulation. By using this approach the author developed two gaming/simulation exercises, the RESCUE TEAM and the KING OF FISHERMEN.

特集論文
査読論文
依頼論文
  • 市川 新
    2009 年 19 巻 1 号 p. 101-111
    発行日: 2009/08/25
    公開日: 2020/09/14
    ジャーナル フリー

    小学校から大学まで,教師は教室で定義の曖昧な学力低下問題に直面し苦慮している.本稿では,教師がゲーミング教育を実践する場合,技術(the art of facilitation)を理論(the science of learning)に連携することを強く主張する.

    現行の学校制度は昭和20年代前半に民主主義教育とともに導入された.小中高では,当初,手探りであったが経験主義教育が実践された.実践事例の多くは現代のゲーミングに連なる優れた「ごっこ遊び」(模擬演習に対する当時の蔑称)であった.それに対して,学力低下という批判を受け,「ごっこ遊びの理論と技術」を主張できないまま,昭和38年までに学校教育の現場から経験学習は一掃され,産業社会が求める画一的知識伝逹教育に移行した.これも制度疲労を招き,記憶量よりも発想・意欲・態度を重視する新学力観による批判を受けることになる.

    平成14年,小中高で総合的な学習が必修化され,一斉に実践されることになる.考えてみると総合的な学習は,大学の教育研究集団に参加し研究態度を学ぶことの実践と変わりない.しかし,進学率50%以上の大学教育を含めて,再び,学力低下批判を受けつつある.歴史を繰り返さないためには,ゲーミングを実践する教師のファシリテーションに,自己の探求する態度を教室で示すことが必要である.総体認識言語であるゲーミングの教育的価値は,教師の探究する態度を伝承するところにある.

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