2009 年 19 巻 2 号 p. 135-144
本研究の目的は,小型風車の社会的受容を規定する要因を調査するために,ゲーミングを新たな調査法として活用するとともに,心理・社会的側面からその規定因を分析することである.調査ツールとして,本研究では「説得納得ゲーム」を用いた.ゲーム参加者は,社会に受容されやすいと思う小型風車の導入を考え,他の参加者に自身のアイディアに同意してもらえるように説得交渉を行う.導入アイディアの特徴と交渉で決め手となった理由から,人々が望む小型風車のあり方,ならびに小型風車導入の是非における着眼点について分析した.ゲームを実施した結果,本ゲーミングにより,評価における多様な着眼点が得られることが示された.また,人々は小型風車に日常生活に役立つ機能を付加させることにより,社会への利益を増加させる導入を望んでいることが分かり,小型風車の社会的受容を評価する際には「社会的影響」が欠かすことのできない評価軸であることが分かった.