2010 年 20 巻 2 号 p. 37-45
本研究の目的は,説得納得ゲーム(杉浦,2003)を用いて,低自尊心者と高自尊心者の他者との相互作用様相の違いを検討することである.ゲームは22名の大学新入生を対象に2回実施した.ゲームの特徴を利用し,説得納得ゲーム内で(1)説得者が相互作用相手として親しい/親しくない他者を選択する人数,(2)説得に要した交渉時間,(3)同一他者を繰り返し選ぶ割合に着目して検討した.その結果,高自尊心者と比較して,低自尊心者は(1’)親しい他者との相互作用を多く行うこと,(2’)説得に要する交渉時聞が長引くこと,(3’)相互作用相手として同一他者を繰り返し選ぶ割合が高いことが示された.これらの結果を踏まえ,高自尊心者と低自尊心者の社会的相互作用様相の違いについて,さらに研究手法としての説得納得ゲームの有用性について議論された.