2017 年 24 巻 2 号 p. 17-28
クチコミの効果を組み込んだエージェントベース普及モデルをビジネスゲームとして用いることで,製品の普及過程における競争戦略の立案に活用できることを示した.まずEdy とmixi を題材とするスノーボール調査を実施し,普及過程における社会ネットワーク上での消費者のクチコミ行動を明らかにした.次に調査結果に基づいて複数の製品間での競合関係があるエージェントベース普及モデルを作成し,これに基づいてゲームを設計した.このゲームでは,Edy 型とmixi 型という異なるタイプの製品において普及促進施策の優劣を比較することができる.電子マネー市場とSNS 市場における競争戦略立案の例では,最適な戦略は製品の特性や参入時期によって異なっており,実際の競争戦略の立案にあたっては,複数人がプレーヤーとなってゲームをプレイし意見を交換しあうことで有用な知見を得ることができる.