シミュレーション&ゲーミング
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解説
ドイツにおけるゲームレーティングシステム:USKとBPjMによる青少年保護
藤原 正仁 ロート マーティン
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2021 年 31 巻 1 号 p. 63-75

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抄録

ドイツは欧州最大のゲーム市場である.ドイツではゲームが多くの人々にプレイされる一方で,子どものゲーム使用に関する保護者の懸念がある.ドイツには青少年保護に関する法律とゲームレーティングが存在するが,近年のゲームレーティングシステムについては明らかにされていない.そこで,本研究は,ゲームのデジタル配信を踏まえたドイツにおけるゲームレーティングシステムについて明らかにすることを目的とした.その結果,ドイツにおけるゲームレーティングシステムは,(1)関連法に基づき,エンターテインメントソフトウェア自主規制機関(Unterhaltungssoftware Selbstkontrolle: USK)によって運営される共同規制の形態を採っている,(2)USK諮問委員会によって審査基準が策定され,公開されている,(3)ナチス等の違憲組織のシンボルの使用について,社会的妥当性を考慮して検討されている,(4)USK.onlineとIARCにより,オンラインゲームやアプリのレーティングに対応している,(5)普及啓蒙を推進し,USKレーティングの透明性を高めていることが示された.また,連邦青少年有害メディア審査会(Bundesprüfstelle für jugendgefährdende Medien: BPjM)は,児童と少年の発達および教育に深刻な悪影響を及ぼす可能性のあるメディアを青少年有害メディアリストに掲載していることが把握された.

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© 2021 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
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