本発表では、1950年代中国の社会再建期における、戦前に由来する日本人と中国人の人的つがなりが果たした社会的役割とその意義について考察する。とりわけ、戦前中国・大連にあった日本人学校出身の日本人と中国人が形成した「同窓会ネットワーク」に注目し、戦前から戦後にかけて継続する日中同窓会交流が、1950年代中国の重工業化政策において社会関係資本として機能していく過程を分析する。日本人学校出身中国人による「同窓会ネットワーク」の活用実践を通して、新中国が建設され社会体制が変化するなかで、常にタブー視てきた日本とのつながりや、戦後中国社会における自己の他者性それ自体を、生き抜くための資源へと転換していくことで、互いの生存を保障しあう中国人同窓生の実践世界を提示する。