日本文化人類学会研究大会発表要旨集
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2021年5月29日(土)
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分科会1 心配と係り合いについての人類学的探究
  • 西 真如
    p. F00-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    私たちは、意図するかしないかに関わらず、日常生活においていつも誰かや何かを心配し、係り合いになってしまっている。本分科会では、ケアフェミニズムおよび関連する人類学の近年の議論を参照するとともに、ケアの実践における非人間(non-human)の役割を探求する。またそのことを通して、他者との具体的な関係性に立脚した民族誌研究の地平をおしひろげるとともに、関係論的な思考の限界についても検討する。
  • エチオピア、マーレ社会における子殺しと養育
    有井 晴香
    p. F01-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、これまでの家父長制社会の規範をもとに社会構造から排除されてきた禁忌の子に対するケアの実践として具体的な配慮やかかわりを分析することを通して、忌避されてきた子どもがいかにして価値ある存在として尊重されうるのかについて論じる。とくにエチオピア西南部のマーレ社会において禁忌とされてきた子どもの養育事例について検討する。
  • ウガンダ、カンパラのスラムでの「心配と係り合い」に関する考察
    森口 岳
    p. F02-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、2000年代後半からのウガンダ、カンパラの新自由主義的都市化(都市環境におけるスラムの社会的位置づけや、貧困層の人々の物質的な「豊かさ」への憧憬など)がケアの関与にどのような影響を与えているかを鑑みながら、女性たちのケアからの逃走を事例に分析を進めていく。ケアをめぐって恒常的に維持される共同体や倫理に対し、家族から距離をとるようなケア(ケアの客体・主体)からの逃走や離脱を考察する試みである。
  • パプアニューギニア・クルティ社会における避妊実践
    馬場 淳
    p. F03-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、パプアニューギニア・クルティ社会の女性たちが密かに行う避妊実践を取り上げ、ケアの実践における非人間の役割とともに、避妊実践を他者の見る世界から「隠すこと」(=切り離すこと)の意義について考察する。
  • 徳島県の現代のお祓いにおける生成と情動的技術
    デ・アントーニ アンドレア
    p. F04-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、徳島県/賢見神社で行われるお祓い・御祈祷を「ケアの実践」という視点から論じる。お祓い・御祈祷は、実践する側と受け手側との関係性を起点にし、様々な人間・非人間の絡み合いを発生・形成させるものであるといえる。本発表では、その結果として現れる受け手の「治癒」や「ウェルビーイング」という状態に注目する。まず治癒過程で、本人の情動・感覚を方向付ける「情動的技術」が中心的役割を演じていることを明らかにする。次に受け手のウェルビーイング、つまり「神様に守ってもらっている」と感じる状態を保つことは、受け手の情動を中心に、様々なアクターの係わり合い・相互作用が繰り返すことで、特定の絡み合いが固定化されることによって実現している点を、事例分析により明らかにする。そして、憑依の場におけるケアの実践とは、その場と生成の可能性を発生させることであると論じる。
  • スリランカ都市部の終末期介護を事例に
    中村 沙絵
    p. F05-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    ケアの倫理の重要な要素の一つに、他者に侵入されることを待つ態度や応答可能性があげられるが、これは、行き過ぎた無私や犠牲、燃え尽きや暴力のリスクを孕むものとされる。このケアの道徳的なディレンマがいかにして社会的に解決されているかを考える際の民族誌的な探究の可能性について、繕いや「つぎはぎ」のケアという概念に着目しつつ、スリランカの都市部の寝たきりの高齢者と介護者との係り合いの事例から検討する。
分科会2 リ/ゾナンスへの人類学的アプローチ
  • 音楽とパフォーマンスのフィールドから
    諏訪 淳一郎
    p. G00-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会が検討するのは、メルロ=ポンティやドゥルーズとガタリなどによって展開されてきた現象学的な議論に傾斜した文化理論の萌芽的可能性である。このような視座は、パプアニューギニアのボサビ高地における音楽、環境、情動の相互作用についてフィールドワークを行ったフェルドによって、「音響認識論acoustemology」として理論化が試みられた。本分科会ではフェルドの議論を換骨奪胎するというよりは、その示唆するところに従って、新たに「リ/ゾナンス」re-sonanceという概念を設定して、フィールドにおける議論へとつなげていく。Resonanceの原義は「再び鳴るresound」というラテン語である。つまり、resonanceとは2回性を帯びた現象を指すと同時に、そこには聴取に関する認識論的領野が開けていることも意味している。そこで、resonanceのもつre-という接頭辞を強調して、これを「リ/ゾナンス」と呼ぶことにした。言い換えれば、リ/ゾナンスとは、音楽のようなものにおける反復的なもの、のことである。そして、音楽人類学の目的は、民族誌という現地の人との共同作業を通じて、これをケーススタディとしてリ/ゾナンスについて概念化することにある。
  • ソロモン諸島アレアレにおける竹製パンパイプをめぐる音楽知
    佐本 英規
    p. G01-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、ソロモン諸島アレアレにおける楽器がアレアレの人びとの社会生活において特別な物――具体的には、人間のように固有名によって名指される特別な竹製パンパイプのアンサンブル――として働く様相に焦点をあてる。それによって、アレアレの人びとと発表者の人類学的な対話を通して見出され得るものとしての、音楽知についてのオルタナティヴな概念を提示することを試みる。
  • 都市ハバナに生きる人びとの感覚と感情をめぐる空間
    田中 理恵子
    p. G02-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、「音響空間(acoustic space)」という観点を議論の取り掛かりとして、ハバナに生きる人びとが語る「音楽を浴びる(bañars)」経験を経由しながら、こうした感覚と感情の空間が人類学にとってどのような意味を持つのかを検討したい。民族誌的な仕事においても、「音を浴びる」環境の決定的な重要性は、自ずと経験されてきたものだろう。ここではそうした内容を、相互に触発しあう「反響(resonating)」の経験や語りとして考察する。
  • ボリビアの民俗楽器における「湿度」をめぐる試論
    相田 豊
    p. G03-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    近年の音楽に関する人類学的な研究は、音楽実践を「今ここ」で人とモノが織りなす経験的な記述を進めてきた。本稿は、こうした音楽人類学理論の展開の意義を認めつつも、それとは別様の仕方で音楽を想像する方法について「湿度」概念をもとに考察を行う。具体的には、ボリビアのアンデス地域で使われる楽器を作るのに必要な材木の採取をアマゾン地域で行っているカバドールの個人史と実践の様態を記述・分析する。
  • ビデオインスタレーションと民族誌映画の間
    グリゴレ イリナ
    p. G04-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    「聞こえるもの」としての音に焦点を当てながら、ビデオインスタレーションという民族誌の新たなアプローチにおいて、音による再領域化が行われる身体性について検討する。ポスト構造主義的なイデオロギーシフト以来、身体論への再考察が必要とされている。本発表では「身体」と「身体技法」の区別を論じながら、インスタレーションアートの歴史での身体理論を取り入れる。
  • 諏訪 淳一郎
    p. G05-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    独立以降に流行してきたパプアニューギニアのいわゆる「ロコル」歌謡では、現地語の音声に起因する独特の抑揚、在来語や共通語の使用、メラネシア的な生活実感のある歌詞の内容などによってグラスルーツの生きられた世界を行為遂行的な「いま=ここ」の中に生成する。なかでも、在来舞踊に使われる歌謡からの流用は極めて大きな特徴である。本発表では、音楽のようなものにおける反復的なものとして「リ/ゾナンス」という概念を新たに提唱する。そして、音楽人類学の目的は、民族誌という現地の人との共同作業を通じて、これをケーススタディとしてリ/ゾナンスについて概念化することにある、と再定義する。そして、在来舞踊の流用というロコル歌謡の一側面に関して、これをグラスルーツの聴衆とアーティストによる対話であり、しかもこの対話はリ/ゾナンスと相互連関している、と明らかにする。在来舞踊の流用により「先祖の時間」とつながったロコル歌謡では、ダンスへの熱狂というインテンシティが傍観することのできない「器官なき身体」の場を空間に生成するとともに、踊りという身体の所作が「見る=見られる」エージェンシーの関係性としてのアッサンブラージュを生み出す。そこにおける音楽の響きは、アクタントを知覚的広がりとして出来事化するリ/ゾナンスである。さらに、その踊りは個人の身体の独立した動きではなく、間身体的に連動した一つの場としてのみ立ち現れる。
日台合同シンポジウム―Anthropology and COVID-19 in Taiwan and Japan, comparative point of view―
2021年5月30日(日)
分科会3 記憶と慰霊を媒介にした社会の新しい形―東日本大震災10年目の被災地をめぐって―
  • 東日本大震災10年目の被災地をめぐって
    高倉 浩樹
    p. A07-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    2011年3月の東日本大震災を契機に、日本における人類学あるい日本についての人類学の双方において、災害人類学は重要な研究領域となった。この間少なくない研究者が重要な研究成果を多岐にわたる視点から発信してきた。本分科会では、そのなかで慰霊や震災記憶めぐる研究に焦点を当てる。遺体・遺構などをめぐる対応や被災地の場のもつ意味について民族誌的理解を提示しながら、記憶は社会をどう変えるかについて考察する。
  • 震災遺構と防災教育
    ゲルスタ ユリア
    p. A08-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
  • ボレー ペンメレン セバスチャン
    p. A09-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    甚大な被害を伴う災害では、多数の遺体をどのように扱うかという課題に直面する。東日本大震災ではこの課題に際して、レジャー施設や公共施設が仮設遺体安置所に、空き地が集団埋葬地に転用された。本稿では東日本大震災の事例から、「日常」と「災害」の死の管理との関係を人類学的に分析し、大量死の管理における文化の役割についての理解を深める。
  • 被災者にとっての「生活遺構」
    坂口 奈央
    p. A10-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では、一般的には災害遺構として捉えられてこなかった、被災樹木や島などの自然物を、被災地域の住民たちが、生活の脈絡の中で息づいた「生活遺構」として意味づけていることを、明らかにする。自然物は、回復する力を備えていて、人びとは、かつての日常を想起させながら、自分の人生を新たに位置付けていく対象となる。
  • 変化に直面する東北沿岸部において顕在化する場所へのこだわり
    デレーニ アリーン
    p. A11-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
     この発表では沿岸景観の急激かつ急速な変化を経験したコミュニティに関する継続中の研究成果を提示する。本研究は、海、風景、文化遺産、沿岸文化の関係をよりよく把握し、これらがどのように組み合わされて「場所へのこだわり/場所愛着(place attachment)」を形成するかを理解するために行われた。  3.11(2011年の東日本大震災)による津波の影響を受けた宮城県の2つのコミュニティにおいて、参加型および視覚化手法を用いて試験的フィールドワークを実施した。震災の結果として、防潮堤の建設、山地の切り崩し、沿岸部の土地の嵩上げなど沿岸防御の名の下に国が極端な措置を講じることとなり、これらすべては沿岸の景観および地域コミュニティを大きく変える一因となった。  沿岸地域は社会と文化に無数の価値をもたらす。歴史的に、沿岸地域は住民に生存、生活、建築材料のためのさまざまな天然資源を提供してきた。時の経過とともに、人間は沿岸環境に影響を与え、生活と資源収集を通じて変化を与えてきた。地域、海洋、沿岸の環境は同様に文化に影響を与え、海に近接した生活、海との緊密な相互作用の結果として、多様な習慣、儀式、文化的特質が発達した。  海もまた、生態系の公益的機能を過去から現在に至るまで提供しており、沿岸のコミュニティと社会はそこからより広く無数の利益を引き出してきた。過去15年ほどにわたり、この海岸や海に関連する市場性が低く非物質的な価値についての考察が増えている。具体的には、文化的な生態系公益的機能に該当し沿岸コミュニティの幸福感、充実感、経済的発展に直接貢献すると思われるこの価値についてである。これに加えて、水のある空間の役割、社会と海との動的なつながり、そしてこれが個人と社会の両方の幸福にどのように貢献するかについての研究も見られるようになった。  このように人為的な沿岸景観の急速な変化は、沿岸のコミュニティや住民にさまざまな影響を及ぼしてきた。本研究は景観と人工環境という観点から何が変わったのか、次世代などへの文化活動や知識の共有に関して何が変わったのか、そして地域住民にとって変化がどんな意味を持つのか、ということに焦点を当てたい。コミュニティの住民は「上」から課せられた劇的な変化の必要性について理解を表明するかもしれない。だが、育った風景の変化について人々が語った時に流した涙が意味するのは、場所へのこだわりが多くの人々の幸福と結びついていることの切実性である。  調査は地図、写真、ウォーキングツアーなど、さまざまな視覚的手法と記憶誘発手段を用いて行われた。自然界の社会的価値を理解するためのツールとして、参加型および視覚化技術を使用することが効果的であると最近言われている。今回の発表では、こうした手法を使いながら、沿岸空間の利用とアクセスの大幅な変更が個人の幸福感と場所に対する特別な思いに与える影響を調査し、これが将来の沿岸コミュニティにとって何を意味するのかを考える。
  • 李 善姫
    p. A12-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/01
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、東日本大震災で被災したエスニック・マイノリティの記憶が社会と地域にどのように伝達され、彼らコミュニティ活動にどう影響されるのかを明らかにすることで、エスニック・マイノリティの災害記憶の継承の課題を問う。社会の中でマジョリティの目を意識して生活しているエスニック・マイノリティ集団の中で働く被災記憶の共有、封印について、移民コミュニティへの聞き取り調査とメディアでの記事、及び証言録などを通じて分析する。本研究は、マイノリティ・コミュニティという小集団の中で生じている集合的記憶の選別を通して、日本のマジョリティ社会の課題を投影することができる。さらに、調査対象者の記憶や体験を消費している主体とも言える研究者の姿勢を問いかけるものにもなるだろう。
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