日本文化人類学会研究大会発表要旨集
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2020年5月30日(土)
分科会1 アニミズムの主体/客体論―人類学と仏教学・比較思想の対話から―
  • 人類学と仏教学・比較思想の対話から
    近藤 祉秋
    p. A00-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会では、海外と日本の現代人類学におけるアニミズム論を批判的に継承し、アニミズム論の新しい理論的展開を目指すために、人類学と仏教学・比較思想の間の学際的対話を試みる。アニミズムを能動性と受動性の両面から考察した長谷の議論をひとつの軸としながら、デスコラ、ヴィヴェイロス・デ・カストロ、ウィラースレフ、インゴルドなどのアニミズム論の展開を整理し、仏教学・比較思想の議論と接続させていく。
  • タイラー、スパイロ、ガスリーそしてカストロ
    長谷 千代子
    p. A01-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    宗教人類学における研究対象の有力な定義であり続けてきた「霊的存在」の概念とその遷移について論じ、この系譜の特徴の一端を明らかにし、今後、文化人類学的な宗教研究を行う上でなにに留意すべきかを検証する。主にタイラー、スパイロ、ガスリーによる研究対象の定義方法を再検討し、ヴィヴェイロス・デ・カストロの新たなアニミズム論と比較対照することを通じて、従来の宗教人類学における「宗教」の意味を再考する。
  • マルチスピーシーズ人類学から考える
    近藤 祉秋
    p. A02-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、北方アサバスカン(デネ)の身体をめぐる民族誌から、アニミズム論を新しく語り直すきっかけを探ることを目的としている。動物部位を使った子どもの成長祈願、補助霊との共生を促す儀礼、動物や死者との交感をともなう実践といった事例から、環境認識論的な「身体外のアニミズム」に対して、人間身体の構築、身体内の複数主体性、身体の越境性に着目するような「身体内のアニミズム」を提唱する。
  • 井上円了の「活物」概念に照らしたアニミズムの可能性
    甲田 烈
    p. A03-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、比較思想の方法により、日本の近・現代哲学に着目し、仏教と通底するアニミズムの思想的可能性について考察する。そのさいに参照するのは井上円了(1858-1919)における「活物」の概念である。それは人間もそれを分有する世界そのものの働きを意味し、また生きとしいけるものの往還を意味することから、現代の哲学・人類学におけるアニミズムの再評価と重なるであろう。ここから、「往還存在論」を構想することができる。
  • 日本の民俗社会における、野獣が「化かす」現象と身体=霊魂の関係性
    廣田 龍平
    p. A04-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    日本の民俗社会において、キツネなどの野獣がヒトに対して怪異をなすという話は広範に伝わっている。本発表では、野獣に「化かされた」事例がアニミズム理論との関係でどのように定位できるのかを論じる。「化かす」は野獣がヒトの観点を変化させることだが、もっぱら身体性の変化に着眼するアニミズム理論では、この事態を十分に捉えられない。霊魂の変化という可能性も視野に入れ、身体と霊魂の変容可能性について論じる。
  • タイラーからインゴルド、宮沢賢治へ
    奥野 克巳
    p. A05-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、テイム・インゴルドとレーン・ウィラースレフの「アニミズムを真剣に受け取る」というアプローチを手がかりとして、法華経的な思想の下に童話を描いた宮沢賢治に接近しながら、自他、主客が分化するよりも手前にある「朕兆未分已前」の段階に現れるアニミズムの精髄に触れようとする。
個別発表(A会場)
分科会2 「倫理的転回」が切り開く視界、およびその危うさとは―道徳/倫理の人類学の興隆を考察する―
個別発表(B会場)
  • 葬儀と死を巡る個人的実践
    叶 宝華
    p. B06-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は、実践的親族関係を論じた上で、葬儀の事例を挙げながら、個人的実践を多面的理解できる視座を提示することである。親族関係を検討する際に、いったん血縁関係といったハードな境界線をカッコに入れた上で、個人の日常的実践から構築された親族関係を理解することにより、多面的に親族関係を理解することができると考える。そして、葬儀と死を巡る個人的実践を分析しながら、このような実践的親族関係を明らかにしたい。
  • 天津の鬼市をハブとする古物のフローに着目して
    櫻井 想
    p. B07-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    攤販と称される中国の露店商は、2000年代以後の都市部において、公共空間を占有し都市のイメージや秩序・衛生環境を損ねる存在として位置付けられ、厳しい管理の対象とされてきた。主として、先行研究は攤販と当局の関係に焦点を当て、その関係を対立するものとして描いてきた。本報告は天津の鬼市における古物の売買を題材に、人類学における空間に関する議論を援用し、攤販に関する先行研究を批判的に再考する。
  • ミャオ族女性のライフコースの変容に着目して
    佐藤 若菜
    p. B08-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、ミャオ族の衣装製作を通して示される女性の賢さについて検討する。中国の婚姻、教育、労働をめぐる社会経済的な変容を背景に、ミャオ族のライフコースや衣装の製作工程とともに、女性としての賢さを示す基準がどのように変化したのかを考察する。
  • 漢服・唐装・旗袍(チャイナドレス)の間で
    謝 黎
    p. B09-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    現在、中国では「国服」の議論が起きている。その議論の中心に「旗袍派」と「漢服派」がいて、両者の間で互いに「自分こそが正統である」と論争している。さらにこれに、APEC唐装が加わる。旗袍と漢服のような「戦い」はないものの、「漢族の伝統服」という議論において、旗袍と漢服の中間に位置する存在だと考えられる。本発表は、中国社会における「伝統」のあり方について、服飾論争のそれぞれの根拠を通して考察する。
  • 朴 歓
    p. B10-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    1960年代の北朝鮮ブームの時代、中朝国境地帯では、複数回の「短期訪問」による往来が行われたが、それが必ずしも北朝鮮への移住に繋がるとは限らなかった。寧ろ頻繁に往来を繰り返し、モノの贈与・物々交換によって生活の安定を求めていた。その中で「ポッタリチャンサ」の行商人が出現し始める。1970年代末頃、特に1978年中国の「改革開放」以降、中朝国境地帯では「ポッタリチャンサ」が盛んになってきた。当時はまだ、北朝鮮の貨幣が中国で流通しておらず、彼らの商売手法は主に「物々交換」であった。中朝国境での商品の変遷から、移動するモノの中には文化・伝統的要素の影響によるものもあったことが明らかになった。
  • ―中国マカオにおける中国大陸「外労」の事例から―
    劉 振業
    p. B11-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、中国・マカオ社会における、中国大陸出身「外労」の事例から、マイノリティについて考察する。マカオにおける「外労(オィロゥ)」とは、マカオの「外地労工(オィディロゥゴン)」(外部からの労働者)のことである。公式には「外地僱員(オィディグーユィン)」と呼ばれている。「外労」という語は、マカオ社会現行の「一国二制度」によって生まれた呼び方であり、異なる社会制度、雇用制度の生んだものである。しかし、フィリピンやベトナムからの「外労」がそのままマカオに居住するのに対して、中国大陸出身の「外労」はマカオに隣接する中国大陸の珠海市(ジューハイシー)に居住する人が多い。一国二制度によって中国大陸からマカオに行くには「関閘(グァンザゥ)」(ボーダーゲート)を通る必要があるため、平日は毎日10万人以上の「外労」が珠海市とマカオのボーダーを跨いでいる。このように、珠海市とマカオを跨ぐ中国大陸出身の「外労」は、両社会の「制度を往復する」人たちであると言える。発表者はマカオ社会の視座に立ち「外労」をマイノリティと定義する。本発表は、就労空間と生活空間が分断されつつも、それらを労働者が自身の中で統合しているという点に注目しつつ、「制度を往復する」中国大陸出身の「外労」の生についての考察を行う。
分科会3 世界と共に感じる能力―情動、想像力、記憶とエンスキルメントをめぐって―
  • 情動、想像力、記憶とエンスキルメントをめぐって
    デ・アントーニ アンドレア
    p. C00-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会では、環境と応答する身体の能力に基づく実践としての想像力に着目し、想像力と身体化された記憶との関係を検討する。発表者は各々の領域における民族誌データに基づき、非人間も含む環境と身体との応答によって発生する経験の実存的な基盤として想像力・記憶と情動も感覚も含む「フィーリング」との関係を分析していく。それにより、想像力を分析する新たなアプローチを打ちたてることを目指す。
  • Paul Dumouchel
    p. C01-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    In this presentation, I first argue that memory and imagination can be intersubjective not only accidentally, but also in a fundamental and originary sense, intersubjective, from the beginning. Second, I claim that this is particularly true of embodied memories, i.e. past experiences that left traces in the person’s body or behavior rather than what is reminisced as psychological content. Embodied memories are acted out or made public directly in the body of the person and in consequence they are fundamentally intersubjective, often function as (part of) interpersonal strategies and as something that publicly defines the individual. Such embodied intersubjective memories are what Bourdieu described a long time ago as 「em」 habitus /「em」.
  • ポール・ダンスにおけるフィーリングと想像力を巡って
    コーカー ケイトリン
    p. C02-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表の目的は、ポール・ダンスの実践に焦点を当てて、エンスキルメントの中でフィーリングと想像力がいかに働くのかを明らかにすることにある。とくに、ポール・ダンスの危険性に着目して論を進める。そこで、運動に関わるフィーリングは自己受容性感覚(プロプリオセプション)だけではなく重力や抵抗の原理、遠心力などと共に、三次元的に動くための方向付けおよびエフォートとなり、想像力は繰り返される動きがスキルに変容する鍵となると論じる。
  • 上海での気功実践を事例に
    黄 信者
    p. C03-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    気功に関する民族誌では、「気」を感じるのが肝要であるということが語られ、また人々は想像力を駆使して気功の要領を記憶する記述もあるが、「気」を感じとる能力や想像力が、いかに実践によってエンスキルメントされるかについての研究は不足している。本発表は、気功という身体的実践を通じて、「気」が感じられるプロセスに着目し、いかに想像力と記憶が「気を感じる」のために働くのかを明らかにすることを目的とする。
  • ベナンにおける悪魔と対峙する新宗教を事例として
    村津 蘭
    p. C04-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、ベナン南部のキリスト教系新宗教における妖術師の憑依を検討することで、霊的諸力をめぐる想像のあり方を明らかにすることを目的とする。人類学において、想像力が人々の経験を意味づけるのかのプロセスと発動する条件は十分に論じられてこなかった。本論では、憑依の現場においてどのように霊が判別されるかを辿ることで、知覚の特徴としての想像力の働きと、発動する条件について考察する。
  • 現代日本における憑依からの治癒経験における、記憶、想像力、エンスキルメントの役割
    デ・アントーニ アンドレア
    p. C05-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、現代日本における「憑き」や「憑依」を通して治癒した人々の経験に焦点を当てながら、精霊が発生する過程や精霊を祓うことによる治療過程を検討する。それにより、情動・感覚、身体化された記憶と想像力との相互関係がいかに治療の効果や治癒と関わるのかを分析する。まず、徳島県にある賢見神社で参与観察した民族誌的データに基づき、お祓いの受け手の治癒過程に注目しながら、「憑かれた」ということが、どのような相互行為や症状によって判断されるのかを明らかにする。このお祓い儀礼においては、ヒーラーである神主が「何かが受け手に憑いているか」、或いは「憑いているものは何か」などを判断することはない。そのため、儀礼実践によって発生する「フィーリング」と身体化された記憶から発動する想像力によって、受け手は憑依されていたと判断していて、そのことが治癒という結果につながっているといえる。更に、実践上で生じる特定の「フィーリング」を強化、或いは弱体化するエンスキルメントが「治癒した」とされる状態を保つ基盤となっていることを明らかにする。以上により、憑依を通した治癒経験を理解するためには、ヒーラー側に焦点をあてるのではなく、受け手に焦点を当てるような分析モデルの方が効果的であると論じる。
個別研究(C会場)
分科会4 地域医療と文化人類学との協働―フィールドとしての医療現場から―
個別研究(D会場)
  • 地理的・空間的・伝承的なマッピングから
    古川 勇気
    p. D06-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    近年の地球温暖化により、世界各地で水不足や氷河の減少、さらに集中豪雨や土砂災害など予測不能な問題が生じている。南米のアンデス山脈では、過去35年間の間に約22%の氷河が減少した。本発表の対象地であるペルー北部カハマルカ県山村では、水不足が深刻な社会環境問題となっている。近年では、環境問題を鑑みた世界銀行の意向により、環境NGOが近代的な灌漑設備の設置とそれに見合った技術指導を実施するようになった。だが、環境NGOの取り組みは現地住民にはなかなか理解されず、反発や逃散を招いている。こうした環境問題を考察する前段階として、本発表では、生活の拠り所であり、住民の思考法の根幹でもある、水にまつわる現地のコスモロジーや信仰体系を分析し、地理的・空間的・伝承的にマッピングすることを目的とする。
  • ペルー南部高地C村におけるヤワル・フィエスタの事例
    岡本 年正
    p. D07-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表の目的は、ペルー南部高地C村の人々の、コンドルとヤワル・フィエスタに対する言説や、それを取り巻く状況の分析を通して、村人とコンドルの関係を考察し、村人同士の関係性を明らかにしていくことである。近年政府がコンドル捕獲の禁止を厳格化し、祭りにコンドルが不在となった。これによって表出しつつある、村内在住者と元アセンダードの家系の人々の亀裂や権力関係、それぞれのコンドルに対する繋がりを検証する。
  • スリランカ仏教寺院に集まる布施とソーシャルサービス
    梅村 絢美
    p. D08-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    スリランカ西部にあるK寺院には、多くの参拝者や観光客らから多額の布施が寄せられる。この布施は、寺院運営を担う宗教法人によって寺院の運営維持・修繕に充てられるほか、地域のソーシャルサービスという形で再分配されている。本発表では、宗教法人に集められる布施の形態とその使途に注目しながら、宗教的贈与としての布施と「有用性」(utility)の関係性について検討する。
  • 青少年赤十字を事例として
    山口 睦
    p. D09-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、終戦後から1960年頃にかけて日本の青少年赤十字がアメリカの青少年赤十字から贈られたギフト・ボックス、スクールチェストの実態について機関誌『青少年赤十字』から明らかにすることを目的とする。
  • 「ママたちのココちいいをカタチにしてみたらプロジェクト」を事例として
    大戸 朋子, 吉田 悠, 東條 直也, 新井田 統
    p. D10-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、子育て期にある母親とKDDI総合研究所との共創プロジェクトを事例とし、母親にとってのサードプレイスとはどのような場所なのかを検討したものである。Oldenburgはサードプレイスを、社会的な立場や役割から解放された“私”に戻れる場所だと捉えているが、今回のプロトタイプでは、子育て期の母親にとってのサードプレイスとは、“母親としての私”が満たされる場所であることが明らかとなった。
  • 嬰児遺棄急増の背景と未婚の父母への子育て支援について考える
    渕上 恭子
    p. D11-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    2009年、ソウル市冠岳区の主サラン共同体教会が、未婚の父母等、産みの親が育てられない赤子を置いてゆく「ベビーボックス」を設置し、以後10年間で1,600人の棄児を保護してきた。「ベビーボックス」は、生存が危ぶまれる棄児達を救っている一方で、嬰児遺棄を助長しているとの批判を免れないでいる。本報告で、「ベビーボックス」への嬰児遺棄が増え続ける背景と、そこにやって来る未婚の父母に対する子育て支援のあり方を考える。
分科会5 時流にあわせ「フィールドワーカーの安全対策」について考え備えるには
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