日本文化人類学会研究大会発表要旨集
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2022年6月4日(土)
分科会A グローバル化時代の月経教育とジェンダー
分科会B 返還と関係性―脱植民地化の再創造にむけて―
  • 脱植民地化の再創造にむけて
    太田 好信
    p. B00-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
     20 世紀も終わろうとするころから、世界各地のミュージアムなどに収蔵されてきた遺骨や聖なる器物が返還され始めた。それらが収集された植民地的状況を振り返れば、武力行使や詐術、不当な圧力などをともなった取得もあり、近年、ミュージアムの収蔵品が市民への啓蒙に資するというよりも、社会的不正義の証(「なぜ、ミュージアムにそんなものがあるのか?」)として機能しかねない状況も生じている(Hicks 2020; Colwell 2017)。  たとえ返還には至らない場合でも、「ソース・コミュニティ」との協議の結果、一時的貸与、展示物の複製作成などが積極的に進められている(Clifford 2020)。聖なる器物についても、公共の場における陳列は配慮を欠いている、という認識が一般化している。  以上のような、収集、ミュージアム、展示、遺骨や文化遺産などをめぐるわたしたちの理解の大きな変化を背景として、本分科会は、返還という概念により開かれる可能性、ならびに文化人類学と隣接諸学への影響について、その問題点とともに検討したい。
  • 学問の脱植民地化としての先住民考古学
    加藤 博文
    p. B01-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では、先住民族の遺産を研究対象とする考古学が「先住民返還」の歴史的結びつきを確認し、また先住民族の祖先の遺骨や文化遺物は収集された歴史的コンテキストの理解の重要性を指摘する。加えて、「返還」の対象とするものが上記の遺骨や文化遺物にとどまらず、資料名称や時代区分、遺跡名についても先住民族による歴史構築を考えていく上で、同様に、脱植民地化の対象となりうること、今後の検討が必要であることを論じる。
  • 返還(repatriation)の接触領域と問い続けられる帰還場所
    慶田 勝彦
    p. B02-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    1970年代後半からケニア海岸後背地のエスニック集団ミジケンダに帰属するヴィガンゴと呼ばれる祖霊を記念する木彫が大量に盗難され、米国で高級アートとして消費されていた。それらは複数の博物館に収蔵され、展示品としても使用されていた。本報告では、2人の米国人類学者による盗難ヴィガンゴ返還運動とその後の物語をグローバルな文化遺産返還の観点から人類学と博物館の脱植民地化の再創造として位置づけなおす。
  • 多文化主義の政治理論の視点から
    辻 康夫
    p. B03-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、多文化主義の規範理論の観点から、先住民・マイノリティ集団の遺骨返還の必要性について考察する。多文化主義のアプローチに照らせば、「文化実践」の自由の保障、コミュニティの再建、支配・抑圧の関係の是正などの目的のために、先住民・マイノリティ集団は遺骨の返還を要求することができる。遺骨の返還に反対するには、これらを上回るニーズ・利益が必要であり、かつ当事者の不利益を最小限にする必要がある。
  • 冨山 一郎
    p. B04-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    返還をもとに戻すこととして考えるなら、その「もと」という原型とは何かということが問題になる。しかし返還という運動において問われているのは、略奪がいかなる状況であり歴史なのか、そして略奪がいかなる痕跡を刻み続けてきたのかということではないだろうか。本報告では、歴史において刻まれてきた痕跡を見出し、そこに略奪とは異なる歴史性を獲得する営みとして「返還の思想史」を考えてみたい。
  • 脱植民地化と関係性の再構築
    太田 好信
    p. B05-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    現在、世界規模で進行中の返還という社会現象が、文化人類学者に対しその理論と実践について再考を促すのではないか、という気づきと、返還はこの学問の過去と未来に対し新たな問いかけを可能にするという発想を土台とし、本発表では返還は植民地主義がつくりだした関係を、別の関係の萌芽にしようとする努力である、と主張する。その努力は、新たな「転回」ではなく、脱植民地化の継続、変容といえる。
分科会C 手仕事のオーセンティシティ―「プリント化」する伝統染織が投げかける問い―
  • 「プリント化」する伝統染織が投げかける問い
    中谷 文美
    p. C00-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    「手仕事の技で作られるものであり、歴史的な過去からの蓄積をもち、小さな地方ごとにそれぞれ異なった色彩や文様が受け継がれている」(関本 2003: 462)という特徴を持つ伝統染織は、それゆえに「自給的生活、使用のための生産というイメージと結びつけられ、過去の残存物、固定した保護保存の対象」(ibid.:468)ととらえられやすい。だが実際に自家消費用の布生産を続けている地域はすでに少なくなった。むしろ各地の染織品に共通してみられるのは、素材(糸・染料など)、技法(道具・製作技術)、意匠(色・文様・配置)のいずれの点においても、新たな技術が導入され、従来課されていた制約が外れることで、省力化・効率化が進む状況である。さらに布の作り手・使い手を取り巻く社会状況の変化により、生産組織(生産の場所・分業・道具や素材の所有形態など)、生産者の属性(性別、年代、身分など)、あるいは布の用途にもさまざまな形で変化が生じている。
  • インドネシア、バリ島紋織におけるオーセンティシティとアイデンティティ
    中谷 文美
    p. C01-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    本発表での考察の対象は、生産と消費の連関が基本的に地域内で完結する状況が長く続き、腰機による手織り布という特徴を維持してきたバリ島の伝統織物である。デザイナーによるファッション化や素材の天然染色による高級化と、プリント化あるいは機械刺繍化という二極化現象が生じている近年の状況を踏まえ、他地域の事例とも比較しながら、手仕事の持つオーセンティシティを多様な角度から問い直す。
  • 台湾セデック族の服飾品製作と「プリント化」のゆくえ
    田本 はる菜
    p. C02-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、台湾のオーストロネシア語族系先住民族(原住民族)セデックの織りと服飾品製作を事例に、手織布のプリント化という技術変化や、原住民族の知的財産制度と親和的なオーセンティシティのあらわれに注目しつつ、それが素材や技法に関わる手織物のオーセンティシティとどのような関係にあるのか、さらには異なる性質のオーセンティシティの併存する状況がいかに生じているのかを検討する。
  • インド・木版捺染布アジュラクと「プリント化」の事例から
    金谷 美和
    p. C03-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
     本発表では、手仕事のオーセンティシティについて、インドの木版捺染布アジュラクとその「プリント化」の事例から論じる。「プリント化」とは、伝統染織の文様表現がプリント技法によって複製されることであり、製造方法のオーセンティシティをめぐる問題が生じている。しかしアジュラクの製法道具である木版はもともと文様の複製技術であり、手仕事と機械生産に二分することのできない領域がある。
  • 中国貴州省ミャオ族の事例から
    佐藤 若菜
    p. C04-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、中国貴州省のミャオ族女性による民族衣装製作の変化を、機械刺繍に着目して明らかにする。衣装製作における機械の導入は、デザインの多様化につながることが多い[Miyawaki 2020;Moon 2020]。ミャオ族の事例では、デザインの多様性や独自性が低い型紙刺繍において機械化が進み、新しいデザインが積極的に生み出されることがないまま生産されている点を指摘する。
  • トルコ発のグローバルな流行現象をめぐって
    田村 うらら
    p. C05-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/13
    会議録・要旨集 フリー
    本発表の目的は、トルコの「パッチワーク絨毯」を事例として、「手仕事」の現代的展開の一端を明らかにするとともに、その各過程におけるオーセンティシティの現れかたを考察することである。パッチワーク絨毯は、トルコで発案・生産され、2009年ごろから世界的に流行した。本発表では、当該絨毯が既存産業にもたらした恩恵と矛盾、そして生産・流通関係者と消費者の間で交渉されたオーセンティシティの性質について検討する。
分科会D ゾミアの地球環境学―四国山地の地質・生態・歴史―
分科会E 感染症の人間学に向けて―ポストコロナの現在地とこれから―
分科会F 何を遺し、何を選ぶか―樺太アイヌ文化記録・伝承の試みから―
個別発表(G会場)
個別発表(H会場)
2022年6月5日(日)
個別発表(A会場)
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