シンクレティズムの文化・社会的要因

マレーシアとシンガポールのヒンドゥー教と華人宗教の事例より

抄録

マレーシアとシンガポールには、インド系住民と華人の割合が多く、お互いの寺院を参拝したり、祭礼に参加したりする人がいる。宗教実践が混淆している現象はシンクレティズムを呼ばれる。混淆のタイプには、①神格の同一化、②儀礼の類似性、③神々の合祀または寺院の合体がある。それらの要因としては、第一にヒンドゥー教と華人宗教の類似性、第二に環境による模倣と表象の形成、第三に国家の政策と経済的要因があげられる。