抄録
背景:わが国では女性の喫煙率は増加したまま維持されているのが現状である。最も喫煙率の高い若い女性の喫煙率を低下させるためには、効果的な喫煙防止教育や禁煙指導が必要とされている。
目的:本研究では、女子大学生を対象に、ステージ理論が、喫煙行動の習慣化についても適用でき、ステージの推移にしたがってprosとconsが系統的に変化することを検証すること、また、ステージにともなう喫煙に関わる諸要因の変化を明らかにすることを目的とした。
方法:女子大学生192名を対象として質問紙調査を実施した。調査内容は、ステージ分類の5項目のほか、喫煙のprosとcons、喫煙の害の知識、周囲の喫煙状況、性格特性および刺激希求性であった。
結果:結果は、前熟考期の集団が多かったもののステージ理論が喫煙行動の習慣化にも適応できること、また、prosとconsがステージにともない系統的に変化することを示した。さらに、ステージごとの喫煙関連の要因や心理学的要因から、各ステージの特徴が明らかになった。すなわち、熟考期・準備期では喫煙の利益を損失よりも高く見積もるようになり、喫煙の害の理解がやや不足していること、実行期では、統制性が低く刺激希求性が高い傾向にあり、周囲に多くいる同性の喫煙者の影響を受けていると考えられた。
結論:本研究はステージ理論が女子大学生の喫煙行動の習得過程にも適用できることを示した。ステージごとの特徴の分析から、それぞれのステージに適切な喫煙防止教育や禁煙指導のための基礎的資料が提供された。