抄録
「大学禁煙化プロジェクト」でのニコチン代替療法と双方向性のメール支援を利用した大学生への禁煙サポートプログラム「パッチ&メール」の禁煙成果について報告した。これは日本で初めての大学生への禁煙支援に関する多施設共同研究であった。
プログラム概要と方法:「パッチ&メール」は各大学の学生健康管理部門がプログラムに参加する禁煙希望大学生を募集し、一定のプロトコールに従って禁煙治療を行う。各大学の学生健康管理部門では、プログラムへの参加学生を募集し、一定条件を満たす学生に対してパンフレットや学生健康管理部門スタッフによる面談のほか、必要に応じて無料ニコチンパッチと半年にわたる大学生専用メール禁煙サポート(カレッジ禁煙マラソン)を提供し、プログラム参加後6ヶ月での禁煙状況を評価した。評価は呼気中一酸化炭素濃度測定を原則とし電話やメール等追跡可能な方法を併用した。学生健康管理部門において記入した「学生追跡票」に基づきプログラム参加後180日以上経過した参加者を対象として禁煙成果を分析した。
結果:2003年10月~2005年10月までの2年間に「パッチ&メール」に参加した学生933名(59大学)のうち、調査時点(2005年11月~2005年12月)でプログラム参加後180日以上経過したのは376名(男277名、女99名)であった。プログラム参加180日後の断面禁煙率は、追跡不能者を喫煙とみなす厳しい判断基準では男子学生25.3%、女子学生の24.2%であり、追跡不能者を除外する判断基準では男子学生44.6%、女子学生35.3%であった。男子学生の120人(43.3%)、女子学生の31人(31.3%)が半年後に追跡不可能な状況であった。
結論:本プログラムは海外での大学生への禁煙支援プログラムに先行して開発・提供されたが、海外に比較して本プログラムの禁煙成果は遜色ない結果であった。海外プログラム同様、追跡不能者に対しての対応は今後の重要な課題である。