抄録
要 旨
本稿では、禁煙に伴う離脱症状および渇望、喫煙衝動を評価するための尺度について概説し,上記の尺度を適用する際の離脱症状および渇望、喫煙衝動を評価する重要性について述べる。
欧米では、禁煙に伴う離脱症状および渇望、喫煙衝動の増大は禁煙の継続を妨げる影響が大きく、ラプス,リラプスを引き起こす要因の一つであると考えられている。従って、禁煙支援を目的とした研究だけでなく臨床的な禁煙治療においても、ニコチン依存度に加えてMinnesota Nicotine Withdrawal Scale(MNWS)、Questionnaire on Smoking Urges(QSU)、Mood and Physical Symptoms Scale(MPSS)を用いて離脱症状や渇望、喫煙衝動の評価を行うことにも焦点があてられている。
一方 国内では 従来から、特にニコチンの依存度に注目し、この情報に基づいて禁煙支援を行ってきた。国内の禁煙支援においても離脱症状、渇望、喫煙衝動といった禁煙に伴う症状の評価,認識することは,個人に適した禁煙支援および対処方略の提供を可能にする上で、今後重要な手段となると考えられる。