抄録
要 旨
本研究は、若年喫煙者を対象に日常生活の中での喫煙行動場面を明らかにすることに加えて、同場面における離脱症状および喫煙衝動を明らかにすることを目的とした。
6日間の調査期間においてすべての対象者(22名)が喫煙を行った場面は、「食後」、「気分転換を目的とした喫煙」の場面であった。次いで「作業や仕事の一区切り場面(21名)」、「喫煙禁止区域からの解放(19名)」および「口寂しい(19名)」が喫煙行動の多い場面であった。場面ごとのMPSS(離脱症状:抑うつ感、いらいら感、落ち着きのなさ、空腹感、集中力の欠如および喫煙衝動:喫煙衝動の頻度、喫煙衝動の強さ)とQSU-Brief(喫煙衝動:喫煙願望、喫煙期待)との相関関係は、それぞれの場面において離脱症状については、相関関係は見られなかったものの、喫煙衝動(頻度・強さ)には相関関係が見られた。また、喫煙衝動の頻度と喫煙願望との相関関係は、喫煙場面によって違いが見られた。
以上の結果は、喫煙行動場面が異なれば、禁煙に伴う症状の生じ方の様相も異なることを示唆しており、今後の禁煙支援において、喫煙行動場面によって異なる症状の様相に適した対処方略を構築する必要性を示すものであった。