災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
[論文]
組織間連携機能を有する災害対応管理システムとその普及展開のための研修プロセスの開発
鈴木 猛康宇野 真矢
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 10 巻 p. 122-133

詳細
抄録

市町村や県における円滑な災害対応に、庁内のみならず組織間の災害情報共有は欠かすことができない。そのため、災害対応を支援する情報共有システムが開発され、地方自治体に導入されるようになった。しかし、災害対応経験の乏しい地方自治体では、情報共有システム導入の前に、災害対応のための実効性のある体制の確立が不可欠と言える。

本研究では、市町村用の情報共有システムとして開発した災害対応管理システムを、組織間連携機能を充実させた上で、災害対応経験の乏しい山梨県の2つの市、町へ導入することを試みている。開発した災害対応管理システムを効率的に県内27市町村へ普及展開させるためには、少ない回数で災害対応とシステム操作のスキルを身につけることを可能とする効果的な研修が必要である。そこで、CAUSEモデルを拡張し、事前準備、信頼性獲得を行った上で、部署内の災害対応業務、庁内連携、組織間連携を学習する4回の実務者研修と発災型災害対応訓練によって構成される研修プロセスとして、BECAUSEモデルの体系化を行っている。本研究では、BECAUSEモデルを適用した実務者研修を、山梨県内の2市町で試行している。また、県、市、消防本部、国土交通省、そして住民参加の下、災害対応管理システムを用いた発災型災害対応訓練を実施し、BECAUSEモデルの有効性について、災害対応能力と災害対応管理システムの操作能力の両面から検証している。

著者関連情報
© 2012 日本災害情報学会
前の記事 次の記事
feedback
Top