災害情報
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特集論文:災害における『検証』とは何か?
  • 秦 康範
    2019 年 17 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
  • 山﨑 登
    2019 年 17 巻 2 号 p. 49-51
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    今回のシンポジウムは「日本災害情報学会20周年」と「日本災害復興学会10周年」を記念した合同シンポジウムとして企画された。将来の災害における被害を軽減する観点から、過去に行われた災害の検証を踏まえ、災害以外の分野の検証の知見や海外の事例を参考にしながら、災害における「検証」をどう行い、どのように活かしていけばいいかについて多角的に議論した。シンポジウムは1部の講演と2部のパネルディスカッションにわかれ、1部では6人の講師がそれぞれの専門分野から問題を提起し、2部のパネルディスカッションでは、1部とは別の研究者7人によって議論が進められた。私は2部のコーディネーターとして議論に参加した。シンポジウムのテーマである「災害における検証」は、まだ日本の社会に定着したものではなく、基本的なコンセンサスも得られていないため、困難だが新しい議論の基礎となるディスカッションになると感じていた。事前に想像した以上に実りある議論になったのは、深い知識を持ち、災害現場での調査や研究が豊富な出演者に恵まれ、様々な角度から自由に語る雰囲気の中で議論が展開されたからだと思っている。ここでは、その議論の一端を紹介した。

  • 永松 伸吾
    2019 年 17 巻 2 号 p. 53-56
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    米国において我が国の災害検証に直接相当するものがあるわけではないが、当事者や所管省庁による自己評価は日常的に行われている。米国において特徴的なのは立法機関の力が強く、連邦議会の要請に応じて会計検査院(GAO)による調査が行われる。さらに2005年のハリケーン・カトリーナ災害のように、国家の危機管理に深刻な影響を与えた災害については上院、下院それぞれの内部に調査委員会が設置される。これらは司法からも独立し、超党派により政治的なバイアスも極力排除し、かつ法的な調査権限も有している。しかしながら、日本のように地方自治体レベルで行政が主体となって調査委員会を設置するケースは見当たらない。そもそも米国では災害に対して行政の責任は限定的に捉えられているうえ、他方で大量の訴訟の当事者ともなりかねない地方政府が、調査権限もない検証委員会を設置する積極的な理由はない。日本における自治体による検証の乱立は、行政への無謬性への過度な期待によるものと考えられる。

  • Yasmin Bhattacharya
    2019 年 17 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿では、ニュージーランドにおける災害に伴う補償制度(被災者支援制度である事故補償制度と地震保険制度)と検証について、それら概略を紹介するとともに、2011年カンタベリー地震に対してそれらの制度がどのように機能し、課題が提示されたのかについて考察することを目的としている。

    ニュージーランドの事故補償制度は、社会保険を基礎とする世界でも特有な制度であり、大きく2つの特徴がある。一つ目は、事故の態様にかかわらずすべての被害者に対して補償を行う制度であり、補償対象者にはニュージーランドを訪れる外国人も含まれている。二つ目は、加害者の故意・過失にかかわらず補償を受ける代わりに、加害者に対する追加的な不法行為訴訟を原則として禁止することである。

    ニュージーランドの地震保険制度の特徴は、①運営主体は政府であること、②民間の火災保険に加入した場合の強制付帯方式であること、③支払保険金額に限度額を設けていること、④地震に限らず広範囲な自然災害を対象としていること、⑤保険料が低廉な価格に抑えている、に要約される。ニュージーランドの検証システムには、検証法により定められた3つ検証タイプ(①王立委員会による検証、②公的調査検証、③政府による調査検証)があり、それぞれの役割と特徴について紹介している。

    2011年カンタベリー地震による検証と事故補償について、それぞれの制度がどのように運用されたのかを紹介するとともに、大規模かつ長期にわたる災害に対して顕在化した課題を整理し、ニュージーランドにおける補償制度と災害検証について考察する。

  • 廣瀬 昌由
    2019 年 17 巻 2 号 p. 63-65
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
  • 谷原 和憲
    2019 年 17 巻 2 号 p. 67-68
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
  • 岡本 正
    2019 年 17 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    東日本大震災で犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の児童遺族らが提起した訴訟の第一審及び控訴審に現れた事実から、組織のリスクマネジメントや事業継続計画へ反映すべき教訓を抽出する。判決が損害賠償責任(国家賠償責任)を認めたかどうかという結論のみに着目するのではなく、前提として認定されている事実関係にも着目して、いかにすれば結果再発を回避できたのかという視点から、裁判例を「検証」することを試みる。その結果、(1)災害後の情報収集体制の確立とそのための最低限の設備、(2)収集した情報に基づく円滑・的確な判断と立場に応じた行動ができる人材の育成、(3)現場の判断権者の不在を回避するための自動的な権限委譲ルールの事前策定、(4)組織図・指揮命令系統への権限委譲の具体的な反映と残された者の行動指針の事前作成、(5)危機管理マニュアルへの記述・周知及び訓練の実施等が、教訓として浮かび上がる。

    なお、裁判例の検証的活用の考察の前提として、そもそも、2018年度実施の日本災害情報学会及び日本災害復興学会合同シンポジウム「災害における『検証』とは何か」に登壇した各分野の専門家らの間でも、必ずしも共通認識となっていなかった「検証」「第三者委員会」「損害賠償」等の関連用語や概念の整理を行った。

  • 関谷 直也
    2019 年 17 巻 2 号 p. 77-79
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
  • 牧 紀男
    2019 年 17 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    阪神・淡路大震災の自治体における復興検証をプログラム評価という観点から分析を行うとともに国勢調査データを用いた復興の総合評価の試みについて紹介を行った。復興ということがどういう状態を指すのかということについての共通認識が無いなかで、復興を評価する上での復興計画の重要性、復興を行う上での評価・見直しの重要性を指摘した。

  • 澤田 雅浩
    2019 年 17 巻 2 号 p. 87-88
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    2004年に発生した新潟県中越地震では、すでに過疎化、高齢化、農業の担い手不足等の課題が顕在化していた中山間地域に大きな被害が発生した。復旧・復興に際しては、従来の自然災害とは異なり、人口減少が進む地域社会をどのように再生、新生するかが被災地内外から問われてきた。ここでは、それらの復旧・復興プロセスがどのように検証され、その後の地域づくり等へと展開されてきたかを紹介しながら、「復興」に軸足を置いたときの「検証」の位置づけを整理する。

  • 横山 広美
    2019 年 17 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    2011年の東日本大震災は、地震による巨大津波というひとつの災害に留まらず、福島第一原発事故を招き、国家が国家として存続できるかといった側面でも特殊な複合災害であった。当時、日本学術会議では、専門家として統一見解を出すワンボイスについて議論が行われた。しかし、これは多様な論点や偏らない情報や意見を取りこぼすことになったのではないかと、たびたび問い直されてきた。

    本稿では特に、緊急時の情報発信について、政府、学術コミュニティそれぞれの在り方について議論する。原子力災害についてはすでに対応が進んでいるが、ここではそれに限らず、国家の緊急時にみる学術コミュニティの情報発信および社会的責任について3つの角度から分析する。まずひとつめに、戦後、長く議論をされている「科学者の社会的責任」論の中で、緊急時の科学者の責任をどのように論ずることができるのかを確認する。第2に、もし緊急時の情報発信が可能であれば、それは日本学術会議なのか、学会なのか、どの単位のグループで発信をすべきなのかという点、そして既存の情報なのか新規の情報なのかについていくつかの事例を元に論ずる。第3に、緊急時のワンボイスに幅を持たせるため、いくつかの見解を世に発する「グループボイス」を機能させることの重要性であることを指摘する。

    全体としては政府のワンボイスを支持しながらも、学術コミュニティの議論は幅のある議論を吸い上げるため閉鎖的にならないことが肝要であると指摘する。社会全体の中で専門家は情報提供に徹する必要があり、意見の違いがあっても一定人数以上の「グループボイス」を発することができる環境が必要であることを指摘する。同時に、科学者は緊急時にSNS空間でも果たすべき役割があるであろうことを指摘する。

    当時の混乱の渦中で、筆者が経験した東京大学の科学の現場の様子を初めて伝えると同時に、「検証」の観点から、震災から8年が経過してもまだ整備がされていない、次の緊急時に向けての体制づくりに本稿が少しでも役に立てば幸いである。

査読原稿
  • 中村 功
    2019 年 17 巻 2 号 p. 97-108
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    中山間地の豪雨災害の例として、2017年7月に発生した九州北部豪雨災害を取り上げ、中でも被害が甚大であった福岡県朝倉市における避難と情報について検討した。関連文献を整理したのち、市役所及び関係機関への聞き取り、仮設住宅住民への聞き取り及びアンケート調査を行った。

    その結果、まず、土砂災害と洪水被害が同時・複合的に発生したことで避難が困難だったことが分かった。アンケートによれば、被災前の避難率は低く、避難は実際に危険な状況を見ることをきっかけにしてなされていた。

    そうした中で、避難勧告の発表は災害発生前に行われていた。しかし伝達メディアに問題があったために、住民にほとんど伝わらなかった。豪雨時に有効な緊急速報メールや屋内の受信機による伝達に不都合が生じていたためである。緊急速報メールは、市役所庁内のインターネットが一時不調になり、十分機能しなかった。また防災無線に接続された地域コミュニティ無線は接続に問題があり、強制放送ができなかった。せっかくの防災情報メディアがうまく使いこなされないという状況が明らかになった。

  • 加治屋 秋実, 赤石 一英, 横田 崇, 関谷 直也, 草野 富二雄, 鶴崎 浩人
    2019 年 17 巻 2 号 p. 109-119
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    大島町では、2013年10月16日に伊豆大島で起こった土砂災害後の避難率が顕著に低下した。

    そこで、避難を促すための手立てとして、住民自らが土砂災害リスクや避難行動に関する問題点とその対処方法について意見交換を行うグループワークを一部の地区で実施し、避難率の向上が見られた。また、適切な避難勧告・避難指示(緊急)の運用のために、土砂災害と降水量との関係を用いて、避難勧告の空振りを減少させる運用を行っている。さらに、過去61年間の土砂災害の事例を基に土石流発生の危険性に関する降水量の指標値を求めて避難指示(緊急)の基準とした。

    これらの検討や運用において、大島町役場・大島支庁・大島警察署・気象庁伊豆大島火山防災連絡事務所が連携した共同検討体制が重要な役割を果たしている。

  • 沖田 陽介, 多田 直人, 後藤 伸也, 地引 泰人
    2019 年 17 巻 2 号 p. 121-131
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    近年、世界各地で発生した地震等の自然災害に対して、各国・機関が国境を越えて支援を提供することが多くなってきている。情報通信技術の発達を含むグローバル化の進展に伴い、比較的小規模の災害であっても、各国・機関は国際支援の準備を開始することが多い。そのため、国際支援の受け入れ、つまり「受援」について、国際支援が必要な場合にはいち早く被災国政府から支援を要請しなければならないが、不要な場合にも同様に「支援は不要」である旨を速やかに発信しなければならない。

    本稿では、2016年のアチェ、2018年にはロンボク島、スラウェシ島と、インドネシアを襲った地震災害を例に、受援のために必要な被災国政府からの情報発信について見る。インドネシア政府は各国からの支援の申し出を断る、もしくは限定された支援のみを受け取る等の措置を執った。これらの決定がなされる過程において、インドネシア政府からはどのような情報発信がどのタイミングでなされたのか。インドネシア政府の対応を例に、被災国政府から支援する側に対する情報発信の必要性、迅速に情報を発信するための準備について検討する。

    インドネシア政府が災害の発生直後から情報を発信できた理由として、法制度の整備により災害対策機関の役割が明確にされていたこと、支援の受け入れ方針が明確であったこと、英語による情報発信の体制が確立されていたこと等が挙げられる。

  • 竹之内 健介
    2019 年 17 巻 2 号 p. 133-143
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    平成29年九州北部豪雨から1年が経過した。災害後、地域は復旧復興に向けた動きが見られる一方で、甚大な被害を受けた地域を中心に、災害リスクの認識の高まりとともに、災害対応にも変化が見られることが多い。災害の発生は、地域の災害対応にどのような変化をもたらすのか。本研究では、平成29年九州北部豪雨の1年後の調査として、その後の地域防災の変化やその後の災害対応に焦点を当てた聞き取り調査を行い、どのような変化が生じ、またそれがどのような要因により形成されたか分析を行った。

    聞き取り調査の結果、災害対応の促進を図った様々な取組が開始されていた地区が確認される一方、行政の避難情報への依存の高まりや居住者の減少により地域による災害対応自体が困難となっている状況も確認された。また、これらの聞き取り調査を基に、主体・避難行動・影響要因の視点から避難対応の判断状況を分析し、そのような状況が形成されるに至った要因を確かめた。その結果、それぞれの地域の災害対応を変化させる要因として、コミュニティ内外の様々な要因が影響を与えていることを確認した。

    本研究の結果から、災害の発生は地域の災害対応に大きな影響を与えており、災害発生後の地域における災害対応状況を確認することは、短期的な地域防災に対する方策のあり方に加え、今後の地域の災害文化をどのように位置づけていくかという長期的な視点で考える上でも重要と言える。

  • 矢内 真理子
    2019 年 17 巻 2 号 p. 145-155
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は女性週刊誌を対象に、福島第一原子力発電所事故報道の言説構造を解明することを目的とする。女性週刊誌が語る他の媒体の報道はどのように評価され、表象されているのか、原発事故報道の言説の成り立ちを分析した。本研究は総合週刊誌3誌の言説分析を行った矢内(2017)と接続し、総合週刊誌と女性週刊誌の比較を通して、さらなる知見を生み出すことを目的に行った。分析対象は2011年3月に発行された『女性セブン』『女性自身』『週刊女性』の3誌である。分析方法はフェアクラフ(2012)の批判的ディスコース分析から「前提のタイプ」分析と「社会的行為者」の分析、林(2002)の書き手と読み手の意図共有のディスコース分析の3点の方法を用いた。その結果女性週刊誌において、原発事故は読者の生活に影響を及ぼすものとして描かれていることが判明した。読者にとって単に「身の回りに変化が起きますよ」という言説のみならず、読者に対して節電や募金など、何らかの行動や意識の変化を促す言説が、要請やアドバイスという形をとり語られていた。読者と書き手が一体となる代名詞「私たち」を用い、「記者」たちが記事の中で登場人物化し、記事の中で主語の省略し、意識を共有する。この3点の流れが、総合週刊誌よりも強い、読者と書き手の仲間意識、連帯意識の醸成を可能にし、読者への助言を可能にしていると結論付けた。

  • 水野 一成
    2019 年 17 巻 2 号 p. 157-167
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    スマートフォンを利活用することで、防災・減災に繋がることへの期待が高まっている。

    本稿では①防災系アプリの効力を確認し②防災系アプリを所持している人の特性は何かを明らかにしていく。調査の結果、スマートフォン所有者の内、32.1%が何かしら1つ以上の防災系アプリをインストールしていた。分析をすると、当初仮説として考えていた「ICT」に関わる変数との関連は低く、「防災意識」が最も関連が高い結果を得た。次に高い関係があったのは「年代」であった。その年代に注目し、再度年代ごとに分析を行うと、特徴的な結果が得られた。そもそも防災意識が低い、若年層は「避難経験」の有無が高く関係し、過去の大きな災害に関する経験の有無が関係していた。ミドル層は、性別の差異が高く、背景にはライフステージの差異がある可能性がある。また、スマートフォンの普及段階にあるシニア層では、ICTに関連する項目やイノベータ得点に関わる項目が上位となった。このような結果を見ながら、スマートフォン(防災アプリ)が防災・減災の観点から、今後どのように寄与できるかを考察していく。

  • 佐藤 良太, 佐野 浩彬, 鈴木 比奈子, 池田 真幸, 高橋 拓也, 田口 仁, 花島 誠人, 臼田 裕一郎
    2019 年 17 巻 2 号 p. 169-177
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    2016年4月14日21時26分に発生した前震(Mw6.5)、16日1時25分に発生した本震(Mw7.3)に代表される平成28年熊本地震は、熊本県をはじめとする九州地方に甚大な被害をもたらした。この災害に対して、筆者らは、各種災害情報をGISデータとして集約し、災害対応機関のニーズに応じた地図情報の提供を行う情報共有支援を実施した。この支援の中でニーズが高かった地図情報に、避難所・避難者データがある。避難所・避難者データは、様々な機関で様々なフォーマットにより情報集約されていた。集約された情報のうち、熊本県、熊本市が集約した避難所情報、災害派遣医療チーム(DMAT)が収集し、広域災害医療情報システム(EMIS)に入力した避難所情報、国土数値情報に公表されている避難所情報について、統合処理を実施し、地図情報として提供を行った。避難所・避難者データの迅速な地図化には、避難所名称、住所、避難者数、緯度経度について、被災県の担当部署が各県に導入されている防災情報システム等を活用し、発災直後より迅速に集約・整理できるフローを確立することが望まれる。

  • 和田 友孝, 松本 航輝, 大月 一弘
    2019 年 17 巻 2 号 p. 179-190
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    突発性災害の発生を迅速に検知し、リアルタイム性の高い災害情報を被災者に提供することを目的として、緊急救命避難支援システム(ERESS)の研究開発が行われている。本論文では、iBeaconのエリア情報と加速度情報を用いた通路混雑状況を考慮した避難誘導方式を提案する。提案方式ではERESS端末に搭載された加速度センサを用いることで、端末保持者の現在の状態の判定を行い、エリア内に存在する全ての端末保持者の現在の状態より混雑状況を把握する。把握した混雑状況を周囲の端末と共有することにより、各エリアの混雑状況を把握する。これにより通路の混雑状況に応じて避難経路を柔軟に変更でき、適切な避難誘導が可能となる。屋内環境における避難誘導実験を行い、提案方式の有効性を検証する。

  • 大西 正光, 竹之内 健介, 本間 基寛, 金井 昌信
    2019 年 17 巻 2 号 p. 191-200
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究では、気象情報のサービスプロセスにおける官と民の役割について規範的考察を行う。まず、気象情報が生産され利用されるまでのサービスプロセスを経済学及び社会学的枠組みに依拠して構造化を行う。その上で、わが国の気象情報サービスプロセスの類型化を行う。さらに、気象情報サービスのプロセスにおける中間的生産物を官と民のどちらが供給すべきかと言う視点に立って、官と民の役割分担を規範的に考察する。本研究の主要な結論として、1) 官、すなわち気象庁が提供する情報は、コモディティ化された情報とならざるを得ない。官が提供する防災気象情報は、低コンテクスト情報であり、情報の受け手の意思決定に結びつきにくい。2) 高コンテクスト情報は、民間による市場ベースでの供給が可能であることを指摘している。また、そのための条件として、情報提供者である専門家にコミュニケーション能力が備わっていること、情報の潜在的利用者自身が、自らが潜在的に災害リスクに晒されており、かつ平常時から情報提供者である専門家と信頼関係を築いておく価値を認識することを指摘している。

  • 宇田川 真之
    2019 年 17 巻 2 号 p. 201-211
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    2017年6月の水防法および土砂災害防止法の改正に基づき、浸水想定区域および土砂災害警戒区域内の要配慮者施設では、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務化された。現状では策定率は2割程度に留まり、今後に全国の施設で避難確保計画の策定の推進が必要な状況である。本研究では、要配慮者施設において、実効性のある風水害の避難確保計画の策定促進に必要な知見を得ることを目的とした。そこで、要配慮者施設へのアンケート調査を行い、計画策定の阻害要因、望まれる支援対策、避難行動時の懸念点などを明らかにした。さらに、模範的な避難確保計画を策定後、さらに実際の災害対応にもとづく改善に着手している施設へのヒアリング調査を行った。これらの調査の結果、実効性の高い避難確保計画とするためには、利用者の自然災害からの安全性確保とともに、健康維持にも配慮する必要が高いことを明らかにし、施設向けの避難確保計画策定の手引書等に記載すべき留意点を提案した。

  • 髙梨 成子, 坂本 朗一
    2019 年 17 巻 2 号 p. 213-225
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    近年、情報通信メディアの高度化・多様化が飛躍的に進んだことにより、情報量は爆発的に増大し、とりわけ豪雨災害時には、被災市町村では膨大な情報が交錯する。突然発生する地震災害に対し、風水害においては、被害の発生・拡大を抑止できる猶予時間(リードタイム)があるはずだが、地域の災害対策を担う市町村は、この重要な猶予時間帯を有効に活用できず、失敗するケースが多々見られる。市町村には、1)防災・気象関連情報や河川の水位情報の収集、2)避難情報発令の決定、3)気象警報や避難情報の住民や事業所等に対する伝達、4)住民や事業所、報道機関、防災関係機関等から短時間に爆発的に電話等による情報が集中し、業務が増大する。しかし、市町村の側では、高度化・多様化した情報の解析・予測能力等の不足や、災害時における外部からの情報圧への対処能力がないことが、失敗に陥る原因となっている。

    そこで、本稿においては、市町村に責務のある災害時に住民等の生命を守るための避難情報の発令過程に焦点を当て、近年発生した豪雨災害から、市町村の情報処理過程の成功/失敗事例を実証的に分析し、情報処理(情報の扱い方)能力を高めるための対策を考察する。

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