抄録
本稿で問題にするユーザーとは、技術のあり方を議論する際に想定されるその使用者の像である。特に社会に実装される情報システムの場合、使用者像の設定に応じて技術の仕様やデザイン、およびその社会的役割についてのビジョンなどが左右される。本稿では、そうしたユーザーのモデルの基本構造のあり方を検討する。具体的には携帯電話ユーザーの振る舞い例に、情報通信技術とその利用者との関係を捉えるための基本的な枠組みについて検討する。その上で、ユーザーを、内在的な本質によって定義される実体論的な所与と見なすのではなく、技術を「使う」場面において立ち現れる事柄としてモデル化する可能性を示す。