抄録
木質系材料を中心に,種々の内装材料の観察距離と材質識別の良否の関係について検討した。 また,色やコントラストなど材料の視覚的物理量と質感の関係についても調査し,以下の結果を得た。 1)木材は天然木・印刷木目ともに,観察距離にかかわらず他材料と見間違われることが少ない。 2)節の現れている木質系材料は,天然木あるいは印刷木目に関わりなく 「本物」という評価を受けやすい。 3)石材やステンレスは木材と同様に,観察距離が変わっても他材料と見間違われることが少ないが,布や紙などでは,観察距離が大きくなるにつれ他材料と間違われやすい。 4)試験体の明るさと黄色みが増すほど「やわらかい」イメージを,表面の細かな明暗変化が目立つほど「ざらざらした」イメージを与えやすい。この傾向は観察距離が小さいほど明確になる。一方,温冷感は観察距離の影響を受けにくく,材料の赤みが増すほど「あたたかい」イメージを与えやすい。