抄録
本研究の目的は,事務用回転椅子のスタイリング要素を分析し,製品開発時に効率良く製品の差別化を図るため,スタイリング要素の優先順位を提案することである。
スタイリング要素を抽出し,さらに各要素において「形状」「材質」を基準とする水準を設定し,数量化理論3類により分類した結果,国内製品はスタイリング要素の水準構成が似ていることを明確にした。次に,印象度による順位評価を行い,最も印象に残る要素は背フレームであり,背シェル・ヘッドレスト・背・ランバーサポート・アーム・座ベース・座・脚の順であることと,各要素における水準の印象度を明確にした。また,各要素の形状・素材感に5段階評価を行い,評価の高い要素,低い要素,ならびにその要因を明らかにした。
そして,製品開発時にこれら要素の水準をどのように扱えば,効率良く差別化を図ることが可能かの優先順位を提案した。