抄録
商品陳列の中でもショーウインドーに貼られたポスターの紫外線による褪色という劣化現象に着目した。予め劣化の特性が把握できると,店舗のガラス窓やショーケースに,商品や広告をディスプレイする際に応用できる汎用性があると考え,実測による基礎的知見を得ることを目的とした。98色の試片を用いて6週間の変化を観察した結果,色相やトーン別に差異が見られ,無彩色は褪せにくいのに対し,PCCS の色彩ナンバー4~8の黄色,ライトトーンやブライトトーンは褪色しやすいことがわかった。その一方で,東西南北4方向で測定を行ったが,明確な方角差は見いだせなかった。雨天時や結露を想定した湿潤状態での紅の類似色に絞った測定においては,乾燥状態で褪色した色が褪色しやすいということ,また,褪色し始める時期が早い遅いに関わらず,一旦褪色し始めると歯止めがかからなくなるのは乾燥状態と同様であることが認められた。