本論文は,市街地再開発における都市空間立体化の手法として我が国で最初に実現された坂出市人工土地の空間構成に関して,都市施設,居住施設,公共施設の3つの施設空間,及び,公共的な所有と管理の視点から知見を提供することを目的として,市担当者・住人・周辺商店主へのヒアリング調査と住戸の計測調査を実施した。 その結果,1)土地運営の不明瞭さがその一因と考えられる権利関係の複雑さが老朽化を加速させ,商店街の経営不振や空き室の増大を招いたこと,2)強い権利意識がオープンスペースの公正な利用の妨げになっているが,オープンスペースの有効利用による活性化や再生への期待もあること,3)住人によるオープンスペースの自由な使いこなしは権利関係の複雑さを逆手にとった事象であり,住人の個性やプライバシーの表出とも言えること,4)団地住人と地域住人との共用上の区分やオープンスペースでのメインテナンス責任を明確にする必要があること,が明らかとなった。