抄録
本研究は第二次世界大戦前に開催された主要博覧会に関する批評傾向を『建築雑誌』,『建築と社会』,『建築世界』,『国際建築』,『新建築』を分析資料として考察することを目的とする。分析手順は以下である。1)分析資料における博覧会記事の採録傾向を分析した。2)博覧会記事における批評対象語を抽出・分類し,経年推移を分析した。3)博覧会記事のキーセンテンスにより主張を分析した。結論を以下に示す。1)分析期間における日本では常に万博の開催が意識されていた。2)建築様式に関する記事に注目した結果,新しい建築に対する意見が強く主張された。3)博覧会建築は分析期間を通じて,西洋様式の模倣が否定的に扱われ,1930年代以降は機能的,経済的合理化が進んだ。