抄録
近時,多くの美術館,博物館が建造されている。
一方建材は研究により幾多の新材料が開発普及されこれらを使用し様々な様式の建物が建造され美術館,博物館も例外ではない。 しかし多大な開発,発展の反面,いくつかの弊害を生じ,内部収容物に種々の有害を与えていることがある。そこで,これらの建材と収容物との関連を検討し,設計上の参考に寄与せんとするものであり,コンクリート・木材から接着剤に致るまでの代表的な68種の建築材料と,これに対応させて絵画などを中心とした157種の美術品材料に関し,色彩変化,光沢変化,伸縮変化,強度変化を測定した。その結果,程度の差こそあれ,多くの建築材料が美術品材料に影響を与えるが一番顕著な例としては, コンクリートから放出される物質によるリンシードオイルの変色である。よって建築材料が内部収蔵美術品に害を与える現象があり得ることが確認された。