日本インテリア学会 論文報告集
Online ISSN : 2435-5542
Print ISSN : 1882-4471
トレンディドラマに描かれたインテリア空間とその背景
松田 奈緒子長野 和雄
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2023 年 33 巻 p. 7-15

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抄録
本研究の目的は,1990年前後に放送され,当時の若者に影響を与えた,いわゆるトレンディドラマに描かれたインテリア空間の特徴を明らかにすることである。11作品を全話視聴し,その中に登場する27戸の居住空間に描かれたインテリア要素48項目を抽出した。その結果,前半8作品19戸中,床の段差16戸,ガラスブロック6戸と多用されていること,それがバブル崩壊後の後半の作品では,3作品8戸中それぞれ1戸であったこと,ダイニングテーブルよりもローテーブルでの食事が多いこと等が明らかになった。これらの集計結果に基づき,11作品中9作品を担当した美術セットデザイナーにインタビューを行った。インテリア要素の取捨選択には6つの狙い・理由があること、さらにこれらは、視聴者の願望に沿う(戦略)、視聴者の生活実態に合わせる(世相適応)、撮影の邪魔になるものを省く(対症)の3群に分類できることが見出された。その思考プロセスにおいて,舞台の手法・過去の仕事経験・旅行等で見聞した知識に着想を得ていた。とくに舞台の手法がトレンディドラマに固有の特徴を生んでいた。
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© 2023 日本インテリア学会
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