本研究は,授乳環境の快適性について,授乳行為における褥婦間のプライバシーとコミュニケーションの問題に着 目したものである。室内環境の評価に関する調査から,授乳空間においてはプライバシーの確保とコミュニケーションのしやすさという背反する要素が求められていることが認められた。プライバシーとコミュニケーションの適正化を図ることは人間相互の位置関係を調整していくことであり,授乳室においては,授乳用椅子の配置が重要な要素となる。そこで,授乳用椅子の配置に関する要求条件を抽出することを目的に, レパートリーグリッド法の応用を試みた。その結果, 「連帯感」等を求める褥婦特有の配置特性が認められた。