超音波を用いた医療診断や探傷などの分野において、分解能の優れた振動子が必要とされている。ここで用いる楔型超音波振動子もその一つであるが、主にその放射特性などの原理がこれまであまり明確でなかったので、ここで検討する。パルス波の放射特性に対しては、楔型振動子の表面、裏面及び多重反射によって出る傾斜した縦波と横波パルスを1個1個分離して捕らえ、その放射原理を解明する。また、主パルス波の放射方向は傾斜した裏面の影響を強く受けた斜め方向となる現象も明らかにする。更に、連続波に対する放射特性と放射方向についても、パルス放射で得られた結果などから類推して検討する。