音場再生のための基準的音響伝送系OSS(orthostereophonic system)用HATS(head and torso simulator)を構成するため、成人男子28名の頭部伝達関数の測定を行った。これらより、両耳間差を求め、その個人差の程度を把握すると共に、既報告の両耳モデルで標準的HATSの存在可能性を検討した。その結果、正面方向を除けば、平均的両耳間差を有する1種類のHATSで、ほぼ正確な音像定位と音像の質が得られることが分かった。次に、CADを用いて標準的HATSを設計し、数値制御による3次元切削システムにより試作を行った。これを、両耳モデルを用いて評価したところ、設計目標を満足していることが分かった。