日本音響学会誌
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空間分離能を持つ受波の原理
伊達 玄古家 賢一三上 節子
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1990 年 46 巻 9 号 p. 728-735

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抄録

空間のある領域から発生している音波に対してのみ感度を有し、他の音には感じない空間分離特性を持つ受音の原理を、Kirchhoffの境界積分方程式に基づいて提案している。具体的には、仮想的な球面を正多面体によって分割し、それぞれの中心にマイクロホン素子の対を置き、音圧、法線方向の音圧傾度、音圧の時間微分から成る境界面3物理量を得る。それとは別に、球中心にマイクロホンを置き、その点の音圧を得る。これらを組み合わせ線形に信号処理する。そのブロック・ダイヤグラムも与えている。計算機シミュレーションの結果は、球半径に波数を乗じた値が2より少ない範囲で、著しい空間分離特性を示している。極限減衰を与える平面波入射について、境界面3物理量の寄与度を吟味した結果、音圧が最も重要であるが、効果的な遮断特性を実現するためにはいずれも欠くことができないことが分かった。

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© 1990 一般社団法人 日本音響学会
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