日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
母音の自然性における「波形ゆらぎ」の役割
伊福部 達橋場 参生松島 純一
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 47 巻 12 号 p. 903-910

詳細
抄録

本論文では、人工喉頭音声や合成音声の音質改善を目的に、母音の自然性を決める要因を調べた。音声の中でも定常な母音は、ほの一様な波形がピッチ周期ごとに繰り返された時間構造を持っている。しかし、まったく同じ形の波形が繰り返されているわけではなく、その形は時間と共に微妙に変化している。ここでは、このような波形の時間変動を「波形ゆらぎ」と呼ぶことにし、繰り返し周期の変化である「ピッチゆらぎ」とは区別し、母音に含まれる波形ゆらぎと音声の自然性の関係を心理物理実験に基づいて調べた。加工音声資料内での自然性の比較実験から、母音の自然性には波形ゆらぎの時間的推移が極めて重要であり、正しい順序で並べられた32個程度のピッチ波形が高い自然性を得る上で必要であることが推論された。また、自然性を決める要因は広い周波数範囲にわたって存在しているが、その中でも、高調波成分の周りの∓18Hz程度の側波が重要であることが推論された。更に、試作したパイプ挿入式電気人工喉頭音声による評価実験でこれらの推論を裏付けるような結果が得られた。

著者関連情報
© 1991 一般社団法人 日本音響学会
次の記事
feedback
Top