1991 年 47 巻 6 号 p. 373-379
単一のディジタルフィルタを用いて、入力のスペクトルの変化に追従し、出力信号を装用者の聴野内に収めるよう増幅特性が変化する補聴方式を提案する。更に、ディジタルシグナルプロセッサを用いて本方式を実時間で実現するシステムの構築法を述べる。また、システムの評価を行うため、模擬難聴耳3例、感音系難聴耳2例に対し、単音節明瞭度試験を行った結果についても報告する。この評価実験から、特に、健聴耳に比べて聴野の狭い感音系の難聴者に対し、本システムによる聴野の拡大の効果が示された。